2011年03月31日

決断

汗ばむような日がすこしずつ増えてきた季節
ここ何日かの良いお天気が嘘のように
空は暗く雲は重く風が強く吹く日に

よく知らない街をのんびりと歩いて
たまたま目についた不動産屋さんに立ち寄り
気づいたら新しく住む家を決めていた

それくらいどうしようもなくなっていた
自分の中で渦巻く嵐を止められなくなっていた

話したいことがある、と
ようやく告げられたのは

新しく住む家を決めた二日後

「この家を出ようと思います」
ポツンとつぶやいた

「そんな気がしてた」
ポツンと返事があった

好きにしていいよ
いつまでいてもいいし
いつ出ていってもいい

好きにしていいよ
いつ戻ってきてもいい
気長に一人でいるから

どこまでも優しい言葉に
胸が痛んだ

長い間ありがとう
こんな形で終わらせてごめんね
きっともう戻らない
本当にありがとう、ごめんね

静かに流れる涙で声が震えた

それから出発の日までは
なにも変わらずに二人でいた

そうして迎えた出発の日
荷物は早々と積み果てられ
いよいよ残るはわが身ひとつ

ごめんね、ありがとう
じゃあ、いってきます

声をかけたけれど
答えはなかった

そのまま黙ってドアを閉めた

雲ひとつなく
どこまでも青い青い空の下
私は歩き出す

どこまでも先のない道を
いつまでも一人で

それが私の選んだ道だから
posted by 葉瀬尋 at 07:34| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月30日

おふとんに寝付いていても
しんどくて
咳をすれば胸と背骨が痛む
コンコン、ぎしぎし

天井にぶらさがった
電気のコード

かわいい猫のキャラクターが
にっこりと宙に浮く

こんなときにも世界は
変わらず回っている

ひとり寝転ぶこの部屋は
まるで動きを止めたよう

しんと静まり返る

外から時おり鳥の声
こどもたちの弾む声

ああ、世界は回っている

だからかな

こんなときにもお腹は
変わらず音を鳴らす

重いからだをひきずって
冷蔵庫を開く

熱いからだに
気持ちのいい空気ひやり

見慣れない
ラップのかかったガラスの小鉢
手にとると指先もひやり

すりおろしたリンゴ
大好きなの

眠っていたから気づかなかった

忙しい朝に作っていってくれたのね

ありがとう

こんなときにも心は
変わらずあなたを想う

早く帰ってきてね

あなたの笑顔がてのひらが
なによりのおくすりだから

posted by 葉瀬尋 at 18:28| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月24日

記録

会えた日には印をつける
ピンクのインクで目立つように

会えない日には印をなぞる
こんなにも一緒にいられた証と

楽しかったあの日も
嬉しかったあの日も

あなたと一緒だったけれど
わたしは一人でした

あなたとふたりきりでも
わたしは一人でした

楽しかったはずの日
嬉しかったはずの日

振り返ると切なくなるなんて
悲しいことですね

二人で未来を作っていけたら
どんなにかいいのに

なにもない未来にも
印をつけていけたらいいのに

こんな想いもいつか
通り過ぎた遠い日のことと

笑って振り返ることができるでしょうか

わたしの世界から
あなたがいなくなる日には

なにいろの印をつけるのでしょうね



posted by 葉瀬尋 at 21:11| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

狂気

だいすきよ

だれよりもあなただけ
なによりもあなただけ

あなたがいれば
なにもいらない

あなたがほしい
あなたがほしい

わたしたちは
よりそえないけれど

ひとつになることはできるの、
しってる?


いたいのははじめだけだからねてるあいだにすんじゃうからだいじょうぶだからだいじょうぶだからこわがらないでわたしはこんなにどきどきするのにどうしてそんなにあおいかおしていやがるのねえいいでしょうだっていつもはずっとずっとがまんしているのだものたまにはわたしのわがままきいていちどくらいおねだりさせていつもだいすきだよっていってくれるじゃないあのことばはうそだったのうそつきなのねわるいひとだわ


だいすきなあなたを

ほんのひときれくださいな

いとしいいとしいあなたのかけら

だいじにだいじにあじわうから

ね、ひとつになりましょう?

きっととってもすてきだわ



posted by 葉瀬尋 at 21:00| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

共感

はにかんだ笑顔
かすれた声
指よりも掌が大きい、
ゴツゴツした温かな手

おおらかなようで
気難しいところ

意思が強くて
意外とミーハー

誰よりも自分が一番だと思いながら
誰よりも自分のことが嫌い

誉められるのが好き
自分を一番にしてくれる人が好き

独占欲が強くて
こどもみたいに
甘えたりすねたり

大きな背中を丸めて
まるで人に慣れたライオンみたい

そんなところが
ぜんぶ愛しい

そうでしょう?

痛いくらい
わかってしまう

悲しいくらい
わかってしまう

私は愛してしまったから
あの人と同じ
たった一人のひとを。

あなたの言葉で心が弾む
あなたの笑顔で心が和む

あなたがいるから世界が回る

そう、私も同じ

あの人がどれだけあなたを愛しているか
あの人がどれだけあなたを大切にしているか

あなたの言葉から態度から
どうしようもないくらい
わかってしまうから

なにも私までもがあなたを愛さなくてもいいのだと、大丈夫なのだと、いらないのだと、

わかってしまう

このまま消えてなくなりたいくらい



posted by 葉瀬尋 at 20:52| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月20日

教会

このホテルで結婚式を挙げたんだ。
叔父さん夫婦に仲人になってもらって。
神父がギャグみたいにカタコトの日本語で話してさ。
面白かったけど笑えないもんだよな、あんな場面では。
その時はこのホテルもピカピカだったのにな。
今はもうボロいけど、思い出の場所がまだあるのは嬉しいものだよなあ…

歩きながら、上機嫌で過去を語るあの人の話を笑顔で聞いている。

私の片手は、あの人に掴まれて、あの人の手と共にあの人のポケットにねじ込まれていて、あたたかい。

この状況で、そんな思い出を語るあの人の思考回路が理解できない。

交わされたであろう、生涯の誓いの言葉。
交わされたであろう、はにかみながらのくちづけ。

そこから先は、考えたくない。

降り注ぐ祝福、笑顔、花びら。

それらをすべて裏切っている自らの手を、一体どう考えているのだろう。

カタコトの神父の言葉に笑いを噛み殺しながら交わす、永久の誓い。

この人に手を掴まれている限り、私には永遠に訪れない。

それでも、この人以外にそんなことをしたい相手を見つけられないのだ。

少しだけ何かを呪いたい気分になって深い息を吐くと、風向きのせいか、白いモヤは私たちに降り注ぎ、かき消える。

闇を歩く私たちに降り注ぐのは、祝福ではなく、吐き出した自らの呪いの吐息。

せいぜいそれくらいがお似合いか。
ふふ、と笑うとまたしても白いモヤ。

鼻唄を歌うあの人が、暗がりで足を止める。
予感がしてわずかに見上げると、案の定、押し付けられる唇。

誰かに見られたら恥ずかしいからやめて、とあの人を押し戻していた時期は過ぎた。

片手は自由を取り戻したけれど、結局は両手をあの人に絡み付けるだけ。

たとえ神さまが見ていても、止まれない。

誓いなんて信じないから、今しかいらないから。

自由なんていらない。
祝福なんていらない。

呪われてもしかたない。

お互いが吐き出す白いモヤを身体に浴びているのだから、しかたがない。
それでもいいから、もっとちょうだい。

交わされるのは、熱い呪詛。
交わされるのは、呪いのくちづけ。

そこから先は、考えたくない…
posted by 葉瀬尋 at 19:02| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

希望

誰かにとっての願いは
誰かにとっての呪い、かもしれない。

望みが叶うということは、
必ずしも誰も彼もがハッピーになれることではない。

それをわかっていて、自分さえ幸せになれないことをわかっていて、それでもなお望む。

救いがたい暗黒と混沌に身を染め心をうずめ、
悪魔と取引するがごとく、
魂を引き換えにしてでも、
たとえその器が滅んでも。

叶えたい願いがある
つかみたいものがある
引き寄せたい腕がある。

何を喪っても、何を犠牲にしても、
欲しくて欲しくて欲しくて欲しくて欲しくて欲しくて、ただただ欲しくて。

その希望が叶った。
奇跡としかいいようがなかった。


…そして、世界が滅んだ。


願っていたのはこんな結末だったろうか?
この惨状は私のせいだろうか?
私の身勝手な欲望の代償なのか?

ぬくもりが欲しいと思った。
心は手に入らなくても
たった一度でも
私を見て私を愛して。

その願いが、こんなにも大勢を悲しませ、世界を覆すほどに大それたものだったのか。

しかしそれでもやはり後悔はない。
身勝手ではあるが、欲しいものが手に入る歓びは何物にも代えがたい…

ゆるゆると思考が途切れてゆくのを感じながら、満たされた気分でまぶたを閉じ、それきり私は終わる。


そんな風にして終わりを迎えたのは、実は一人だけではないのだと…
私でなくなった私は、のちに知ることとなる。

救いがたいまでにどうしようもなく、だからこそ愛しい、人という存在。

そして始まる新たな世界でも
また繰り返されるのだろう

人が人である限り。

何度でも何度でも…


posted by 葉瀬尋 at 18:09| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月16日

一方的にでも相手を想うことを
絆と呼んでいいのなら
この世界には隙間なく絆の網が張られているだろう

かいくぐらなくてもいい
からめとられればいい
逃げないでその身で受け止めて

それは時には重苦しいものかもしれなくても
それがいつかは誰かを救う網になるのなら
それは生きるうえでは必要なことなのだと思う

私が名も知らぬ誰かを想う一瞬にも
私のことを知らぬ誰かが私のことを想う

きっと世界はそうして出来ている

張り巡らされた絆の糸が織り成すこの世界には
優しさだけがあるわけではなく
悲しみや憎しみや暴力もあるけれど
それも世界には必要なことなのだ、おそらくは

世界にはすべてがあって
目に見えるもの、感じられるものはほんの一握り

すべてを見ることはかなわず
すべてを識ることもかなわず

それでもそれが世界なのだから
私のいる場所なのだから

私は私が終わるまで
絆を紡ぎ続けるだろう
誰かを想い続けるだろう

愛しい人を、
近しい人を、
まだ見ぬ人を、
生涯出逢うことのない人を、
いまはもういない誰かのことをすら。

そうして今日も誰かを想う

おやすみなさい、またあした

そうして明日も誰かを想う

私が私を終わるまで


posted by 葉瀬尋 at 01:25| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月06日

機械

あなたは機械に少し弱い

一般的には男のひとのほうが
そういうのに強いって言うけどね
あくまで割合の話であって
誰にでも当てはまる法則じゃないもんね
でもあなた負けず嫌いだから
そんな話をしたらムキになって勉強するよね

拗ねて画面に向かう背中を見ていたら
ふと笑いがこみ上げる

だってあなたったら
キーボードを『叩く』というより
まるで『つつく』なんだもの

いけない、ここで笑ったら
さらにヘソ曲げちゃうよね

咳払いしてごまかして
ソファから立ち上がる

あなたの努力する姿
微笑ましいけど、ちょっとカッコいいよ

キュンとしたから
コーヒーでも淹れてあげよう

熱々のコーヒーを持って
後ろからそっと近づいて

あなたにチュッてしたら

あ、フリーズしちゃった

ごめんごめん

わざとだからね

posted by 葉瀬尋 at 14:04| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

キーワード

いくつもの言葉が流れ落ちては
ふわふわと落ち着かずにあたりに散らばってゆく

そうして漂う言葉たちは
注意して拾い集めなければただの音でしかない

いつからそんな風になってしまったの?

あんなにもすべてを大事に抱えていたのに
あんなにもすべてを忘れたくなかったのに

言葉のひとつひとつ
言葉のすべてが
意味のないものに変わっていく

あんなにも求めていた
たったひとつの言葉ですら

もう心に届かない
もう心は躍らない

隣で眠るかつての愛しい人は
まだ何も気づかない

きっともうすぐさようなら

あなたの声が好きだったわ
選ぶ言葉が好きだったわ
今でさえ心地良いBGMくらいには感じるわ

それでもあなたごめんなさい
今は最後の言葉を探しているの

きっともうすぐさようなら
posted by 葉瀬尋 at 13:41| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

完成

『完成』したら、そこで終しまい?
『完成』したら、もう変わらない?

でも、ねえ?

何年経っても変わらないものがあると言える?

何十年なら?何百年なら?
何千、何万、何億年なら…?

変わらないなんて言える?

定義する根幹がブレると
ほら、自信がなくなってこない?

『完成』なんて、限定された条件によって初めて成り立つ幸せな思想

変わらないまま固定されるものなんてないから
どれくらいのスパンで変わっていくかもわからないから

それは近い未来かもしれないし
生きてるうちには変わらないかもしれないし

そんなことを言い訳にして

いつまでも望みを捨てられなくて
いつまでもしがみついてしまって

ほんとうに完成された関係なら
こんなに揺れることもないのに

(私とは)
終わってほしくないのに
(他の誰かとは)
終わりを望んでるなんて

こんな気持ちには早く
区切りをつけてしまいたいのに


posted by 葉瀬尋 at 13:23| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月24日

紙袋

会える度にいつも
手渡し続けた紙袋

ちいさなものから
おおきなものまで

サイズはバラバラだけれど

いつだって中身は
開けた時にあふれるほどの
大事な大事な気持ち

『元気になってもらえますように』

『励みにしてもらえますように』

『喜んでもらえますように』

そしてほんの少しだけ

『好きになってもらえますように』

その想いをこめて

何度も何度も
手渡し続けて

いつの間にか

こんなにも近づいていた
あなたとの距離を

いまほんのりと感じてる


posted by 葉瀬尋 at 20:10| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月22日

屋上

寄り添っていた

世界から二人だけ切り出されたように

なにもいらないから
なにも見えないから

あなただけここにいて

防水膜のひび割れたモルタルが
二人の体温をどれだけ奪っても

構わないからここにいて
朝なんて来なくていい

誰にも邪魔されず
寄り添っていられたらいい

背中の下にはたくさんの人たち
身体の上には輝かない空

みんな名前も知らない

暗い階段をじゃれあうように登って
倒れ込むように開けた重い扉

ここがどこかなんて
そんなの知らない

伸ばした手は

あなたと

冷たい柵とを掴んで

本当に欲しいものは

こんなものじゃないのに



posted by 葉瀬尋 at 21:04| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

裏表

あなたの見せないあなたの弱さ
あなたに見せないわたしの強さ

おたがいに嘘ついて

いま見えているのは裏?
それとも表?

あなたが見せてくれるのは
強がりなトコロばかり
もっと弱音も吐いていいのに
わたしには見せてくれないんですね

あなたがすべてを吐き出す場所に、わたしはなりたい

強さも、弱さも、
欲望も、絶望も、

なにもかも

あなたのすべてをわたしにください
裏も表もない、あなたのすべてを

あの人だけじゃなくて
わたしにもください

なにも隠さずに
わたしにもたくさん

たくさん出してください

そのためには

こちらの手の内も明かしていかないといけないのかな

そうしなければそろそろ
この関係に先は見えない

進むにしろ止まるにしろ


posted by 葉瀬尋 at 18:30| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月19日

『うつむく』

焦点の定まらない目を時折ゆっくりしばたかせ、じっと同じ場所に佇む。
何かを待つように、何かを耐えるように。

彼女はいつからそこにそうしていたのだろう。
何を考え、何を見ていたのだろう。

表面上は、静かに落ち着いている。
けれど彼女の内側には、激しい嵐が起こっている。

ぴっちりと鎧戸を閉めたように、彼女はそれを周りに悟らせない。

何にも興味のない顔をして、何にも傷つかない顔をして。

自分が強い意志さえ持てば、何者にも侵されない、流されない、彼女だけの居場所。

そこに『誰か』は必要ない。

たったひとりの場所は、いつまでいてもいいけれど、広くて、寒くて、ただ静かで。

寒さにも静けさにも、いつまでだって耐えられるけれど。
流されたくはない、傷つきたくはない、だけれど。

音のない嵐が吹き荒れる世界に、ひとすじの陽射しを見つけられたら。


彼女はじっと佇む。

何かを待つように、何かを耐えるように。

いつまでそうしていたか、わからないけれど。

彼女がふいに、顔を上げた。

視線の先には、光があった。

…歪んだ、悲しい光だった。

そうして、彼女は歩き出す。

痛みのない、ひとりぼっちの世界から。
posted by 葉瀬尋 at 21:46| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月15日

『入れ物』

このからだは

こころをおさめるただのはこ

このからだは

こころがなければただのはこ

こころがなければいたくない

わたしのこころはここにない

なにをされてもいたくない

ここにあるのはただのはこ

わたしのこころが

ひめいをあげる

わたしのこころは

どこにある?


posted by 葉瀬尋 at 20:01| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『いつからか』

当たり前のように
くちびるを受けとめる

当たり前のように
くちびるを求める

初めての時は
奪われるようにされたのに

二度目の時は
戸惑いながら寄せたのに

驚きと罪悪感
不安と浮遊感

それらはすべて
いつからか
ただの快楽に成り果てた

味わっても味わっても
まだ足りない

熱を、感触を、『ここにある』という現実を

何度でも何度でも
確かめたくて

確かめても確かめても
信じられなくて

信じようとしても
信じられなくて

夢のように柔らかなくちびる
確かにいまここに感じるのに

かき消えてしまいそうで
いつまでも離れられない

心が見えないから

信じたいのに
信じられない

その不信さえ
いつからか
ただの快楽に成り果てる

堕ちるなら果てまで堕ちよう

あなたはそのままで
きれいなままでいていいから

堕ちるなら私だけ
すべてを背負って堕ちていこう

それが私の役割だと
いつからか気がついた

あなたのくちびるが
私にそれを教えた

言葉もないままに

posted by 葉瀬尋 at 19:50| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月09日

『あとすこし』

袖口を摘まんで、立ち止まる

引かれて、あなたが少し振り返る

うつむく私に近づいて
どうしてほしいの、と問う

わかってるくせに
声に出さないといけないの?

せめてもの抵抗で
うつむいたまま、黙ってあなたの顔を見る
わずかに首を傾げて

いつまでこうしてるの

おねだりしなくても
たまにはあなたから求めて

いじわるして楽しんでるあなたなんて

大嫌いで、…大好き。


まだ見つめ合ったままでもいいよ

いいよ、いいんだけど

でもやっぱり寒いから
なるべく早めにどうにかしてね

バイバイのキスはまだ

おあずけのままで、ね

posted by 葉瀬尋 at 19:44| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『圧力』

ねえ、気づいてるの?

サイドボードで瞬く光
あなたを待つ誰かからのサイン

お願いだから

思い出さないで
思い出させないで

何をしていてもよぎる
誰かの影に怯えて過ごすのは
私の背負った罪のせい

あなたは、何を背負うの?


中途半端にぬくもりを与えないで
なりふり構わずにすがってしまうから

わかってる、わかってるの

用事が済めば出ていくんでしょう、
あの人のところへ帰るんでしょう、

あなたの本当の居場所に


それでも今は勘違いさせていて
私に少しでも心を傾けてくれているのなら

不安に押し潰されるより
あなたの重みを感じたい

だから

その光を見せないで
私に見せつけないで

あなたの影を私に落として
私に目隠ししてほしい

せめて、この夜だけでも…

posted by 葉瀬尋 at 19:35| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『握手』

触れるだけで精一杯
そんな風に合わせた手を

さりげない力強さで自分へと引き込んで

冷たいねと言ったあと
冷たくて気持ち良いと

笑顔と一緒にあたたかく包んでくれた

その一瞬を忘れない

てのひらを重ねるときめきを失っても
あなたの気持ちはまだここにあるから

通り過ぎた季節をおぼろげに振り返り

記憶の中のぬくもりをたどる

てのひらを一人で合わせても
あの温度は戻らない

小雨降る春の日

薄羽織の砂色

零れたひとしずく

静かに地に弾けた


posted by 葉瀬尋 at 01:38| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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