2013年02月13日

"メニュー"

今朝は死ぬほど寒い
布団から出たくないこんな日なのに

起きろ!
掛け布団を引っぺがされた

半分だけ目を開けて声の主を確かめると
仁王立ちした姉さんの姿

人の部屋に勝手に入ってくんじゃねーよ!
朝っぱらから!布団返せ!
もう、朝だ!遅刻するぞ!
何だよ、もう…

ふらふらと起き上がりベッドに座ると
ぐいっと箱を押し付けられた
あ?
チョコだ、やる!
じゃあな!早く起きろよ!
部屋を出て行く姉さんの後姿
耳が真っ赤になっていた

箱を凝視して開けてみると
カップケーキのようなものが入っていた
思わずそれを持ったまま居間へ降りていく

あら、おはよう、貰ったのね
おはよう、うん、何これ?
今日はバレンタインでしょ?
フォンダンショコラよ、リクエストしてたじゃない

そういや数日前にバレンタインで
欲しいチョコのメニューを聞かれた
でもあれは彼氏に作るんじゃないのか?

彼だけでなくあんたにもあげろって言ったのよ
お母さんだけじゃ、味気ないでしょ

ふーん、ご丁寧にどうも

なんて言ったけど
じわじわ嬉しくなってきた
後で大事に食べよう

それで美味かったよって
さらっと言ってやるんだ
posted by 華涼紗乃 at 19:52| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"抜け道"

この世界に来たのは
結果的に正解だったと思う

来た時は
後悔し、悔しがり、懐かしんだものだが
それももう随分昔のことだ

奴隷として売られた僕は
今は奴隷を使う立場にある
料理人の元締め
奴隷の売買など
いろいろ手を広げている

何故この仕事をしたのかというと
楽しくて仕方ないからだ
世界の色が希望が絶望に変わる様が
顔色、態度、声色、しぐさ
すべてが僕にとって甘露である

僕が奴隷から這い上がれたのは
"抜け道"のおかげ
奴隷牢にはぱっと見はわからない
からくりが仕込んである
それを見つけて開けたものだけが
誰にも悟られずに外に出られる仕組み

現実の世界に染まっていたやつは
抜け出そうと考えもしない
または考えても長続きしない

だから奴隷は奴隷のままで終わることが多い
僕みたいなのは本当に稀なのだ

これからもこの世界でやっていく
現実よりもはるかに
手ごたえがあるここで

今日も酒が美味く飲めそうだ
posted by 華涼紗乃 at 19:51| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月06日

"結末"

今日は必ず告げようと決意して
布団に潜り込んだ

夢の世界にはもう行かない
それを彼女に告げようと思う

何度も悩んだ
やっぱり世界そのものを変えるというのは
長いこと現実にうんざりしていた者にとって
とてもとても甘美な誘いだ

だけど
まだ試していない可能性が多い
まだ見限るには早いと結論付けた

現実ではとりあえず
180度の転換を目標にする
そうしないと
夢の世界を捨てた意味がない

夢の世界で目を覚ましたら
シチューの良い香りと
ふくよかなママさん
ママさんは私の顔を見て察したようだ

もうここへは来ないのね
はい、向こうで頑張ります
そう…わかったわ、元気でね
ありがとう…本当にありがとう

こらえきれずに涙があふれた
そんな私を見てママさんは驚いて苦笑いを浮かべる

あなたはどれだけお人よしなのかしら
さ、はやく眠りなさい
ここに来ないと決めたなら長居は無用よ

さようなら
もう二度とここに来ちゃだめよ
おやすみなさい

今度は本当の良い夢を
posted by 華涼紗乃 at 19:44| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"料理人"

今日も畑に出る

野菜が鳥や獣に食べられていないか
病気にかかっていないかチェックする

そして肥料をやる
透明で赤い液体
光り輝く木苺を元に作った特殊なもの

野菜はこれを吸うと
向こうの世界の味により近くなり
そしてこちらの世界の中毒性も増す
シチューに入れるには必須

向こうの住人を迎え入れ
シチューをご馳走し
この世界の理を若干脚色して伝え
木苺を見つけるように仕向ける

そんな私たちの仕事をみんなは料理人と呼ぶ
何よりこの仕事が成功する最大の鍵は
シチューの味にありといわれているから

私は普通より少し上くらいのランク
最近は成績不振が続いているけれど

あの子もとっても喜んで食べてくれていたのに
きっともうこちらの世界への興味は失っていそう

野菜もシチューも愛情を
たっぷりこめているけれど
罪悪感も混じってしまっているのだろうか

また新しい人間を探さなくちゃ
それを考えると少し憂鬱になるけど
生きていくために仕方ない
仕事は仕事だから
posted by 華涼紗乃 at 19:43| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"雑誌"

姉さんが雑誌を必死で読んでいる
女性誌でバレンタイン特集!と銘打たれている

たかだかチョコレートを受け渡すだけだが
手作りがいいのか
こだわりのものを買ったほうがいいのか
本命用、義理用、予算にラッピングなど
悩みは尽きないらしい

やれやれ、大変なこった

でも今年は姉さんは彼氏に
何作るか悩んでるんだろうな
そんなに悩まなくていいと思うけど
自分の彼女にもらったら
どんなもんでも喜ぶんじゃないか?
だって自分で選んだ大好きな人なんだろ?

俺はもちろん関係ないので
毎年のように母さんのケーキを期待する
今年は手作りか買ってくるのか
思うことはそれくらいだ

姉さんが雑誌をほおり投げて
今度はレシピ本を持ってきた

どれ食べたい?!
いや俺彼氏じゃないし…
いいから選んで!
えー、面倒だな、じゃあこれー

選んだのはフォンダンショコラ
いや、名前がかっこよかったから…
ふむ、これか!わかった!
姉さんはそういうとほおり出した雑誌に戻った

端なんかしっかり握りすぎてヨレてる
雑誌もあそこまで読み込まれたら本望だな
posted by 華涼紗乃 at 19:42| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月30日

"メール"

一文字一文字、綴る
あなたとはこの文字の海で出会ったから
今でも大事な大事な
私たちの想いを伝えあうツール

でも長く一緒にいると
さすがに愛の言葉の種類も尽きて
同じ文句ばかり並ぶようになって
絵文字で変化をつけるけど
それも限界が近づいてる

今日の大好きと昨日の大好きは
本当は微妙に違っているし
今日の愛してると明日の愛してるは
絶対に違うはずだもの

ビミョウなニュアンスは
会って目を見て
触れて唇で
伝え合うものでしょう?

だから
私から言うのもなんなんだけど
そろそろ一緒に暮らさない?

メールなんかいらないくらい
あなたのそばにいたいから


posted by 華涼紗乃 at 17:46| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"起死回生"

日常はつまらない
この世界はつまらない
毎日同じことの繰り返し

生きていくのは面倒くさい
朝起きるのも、仕事に行くのも
何もかもが面倒くさい

生きている意味を見つけられなくて
何にもやる気を見いだせなくて
ただ最低限のことだけをして
毎日やり過ごしていく

そりゃあ世界は薄汚れて見えるはず
私の目が曇りすぎている

夢の向こうの世界は
新鮮な刺激に満ち溢れていて
それはそれは楽しくて
それはそれは面白くて

これは私の人生における
起死回生のチャンスだと思ったのだ

でも夢が現実になったらきっと
また同じことの繰り返しだ

結局は世界が悪いのではなく
自分の感覚しだい

自分で探せば
楽しいことはいくらでも見つけられる

私はここで生きていく
もう一度、ここで
posted by 華涼紗乃 at 17:45| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"没収"

高校教師の私は
今年度、生活指導の担当になった
生徒に恨まれるだけのこの仕事は正直気が重いが
風紀委員が優秀なので助かっていた

しかし授業中に
キラキラとした着うたが流れた
生徒指導でなければ
気をつけろよ、次鳴ったら没収する
という方針だが今回はそうはいかない

今、鳴らしたやつ携帯持って前に出て来い

出てきたのは
このクラスの女性の委員長だ
珍しい、とても珍しい
クラスがざわめくほどだ

教壇の前にしっかりと立ち
私を見上げるその顔はとても整っていて
ファンも多いと聞く

委員長が珍しいな、今度から気をつけるように
これは放課後まで預かっておくから
職員室に後で取りに来なさい

そう言うと
彼女はぎこちなくうなづいて
スマートフォンの画面を上にして私に差し出す

受け取ろうとして気づいた
ロック画面の壁紙…

『先生、私と付き合ってください。』

な、な、な、な、なんだと?!
思わず、口が空きっぱなしでフリーズしてしまった

先生、どうしたのー?
他の生徒からの言葉で我に返った
眼鏡を直すことで一呼吸おく

スマートフォンを
ひったくるようにして受け取ると
早く席に着きなさい、と顔も見ずに告げて
黒板のほうへ向き直った

告白?!
いや、いたずらか?!
何にせよ、斬新な方法で驚かせやがる…

心の奥底で冷や汗をぬぐって
とりあえず授業に戻った

posted by 華涼紗乃 at 17:44| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月23日

"チケット"

私とあなたは恋人同士
だけどそれ以上には決してなれない

愛を確かめ合うことも
愛を囁きあうことも
ずっと傍にいることも出来るけど
社会的には何の約束も出来ないの

それを悲しく思ったことは
一度や二度ではなくて
選ばないのではなく選べないことに
何度もがっかりしてきたけれど

でも
それは仕方がないのだから
私はあなたに出来るだけのことをする

一人の人生をこんな風に狂わせてしまって
私のわがままにつき合わせるのだから
あなたを幸せにすることに
妥協なんか絶対にしないわ

その約束の証がこのチケット
海外ならまだ二人生き易いと思うの
だけど受け取るか本当に
よく考えて決めてちょうだい
いつもみたいに勢いで
突っ走ってしまってはダメ

あなたは私のように一人じゃないんだもの

言いたいことは何度も復唱したけれど
あなたに告げるときは
本当に手がぶるぶると震えた

大好きだから
愛しているから
なくしたくなんてないから

手を離して
あなたから握ってくれるか試す
こんな簡単なことさえ出来ないくらい
私はあなたが好きなんだわ

あなたはびっくりして
その可愛い目を真ん丸にしていたけれど
言葉を飲み込んだら
ひとときの躊躇もなく

そのチケットを
まるで大事なもののように受け取った

人生が狂ったのはお互い同じこと
あたしはそれが運命だと思うのよ、なんて
最高の笑顔で言いながら
posted by 華涼紗乃 at 20:47| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"見通し"

ぱちり
目を覚ました

いつものことながら
目覚めはすこぶる良い
窓から射しこむ光もいつも通り

でも今日は視点を変えることにしている
木苺を探しに行くのは二の次
この世界を出来るだけ
客観的に見るようにしなければ

キッチンへ向かうと
優しく笑顔のママさん
美味しいスープを出してくれた
今日は見つかるといいわね、木苺
適当に笑顔で相槌を打つ

よく見るとエプロンの端っこに丸く焦げた痕
あれは…そう煙草の痕に似ている
押し寄せる違和感
慌てて目をそらしてスープを食べ終えると
外に飛び出した

街に出ると様々な店が立ち並び
様々な人々が行き交う

活気のあるいい街だと思ったけど
よく見れば
道の隅に座り込むやせっぽちの子ども
人に突き飛ばされるようにして歩く老人
一本路地を入ってみると鉄格子の向こうに
人が足かせをはめられてうずくまっているのが見えた

頭の中で警報が鳴り響く

この世界で私が生きる見通しが立たない
何とかなるなんてあんなポジティブ思考
いったいどこから生まれてきたんだろう

もう一度考え直そう
ここは正念場
ちゃんと天秤にかけて
最良の道を選ばなければならない
posted by 華涼紗乃 at 20:46| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"慎重"

手順は何回も何回も読み返した

数字と上下だけだから簡単だけど
一歩手順を間違えると
せっかくの機会が無駄になってしまう
慎重にボタンを押す

上に上ったり
下に下りたり
止まってみたり

エレベーターなんて人間が作ったものなのに
神秘の世界にいけるなんて
なんて素晴らしいんだろう

これを教えてくれた友達に感謝しなくちゃ

幾度目かの手順で扉が開くと
そこには髪の長い女性がいて
静かに乗り込んできた

これが今までの手順が成功している証
よし、あともう少し

髪の長い女性はぞっとするほど綺麗で
真っ黒な瞳で私を見つめ口を開いた

人を信じるのも大概にして

え?と思うの間もなく
エレベーターの扉が開いて女性は出て行った

手順だとここでは女性は降りない
…間違ってなかったはずなのに

改めてネットで検索して背筋が凍りついた
真似をしてはいけない危険な儀式だったらしい

助けられたんだ
本当に人を信じるときは慎重にしないといけない
posted by 華涼紗乃 at 20:45| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月16日

"手抜き"

いつもは
「どうやって手抜きしようか」
ということを必死で考える

考えてる時間に
普通にやったほうが早いときも多分ある

やらなきゃならないこととは
本当に面倒くさい
だけど
やりたいことばっかりに
時間を割いてはいられない

心の中のブーイングに耐えながら
怠けようとする身体に鞭打って動かすのは
本当にエネルギーが要るものだ

だから
それがうまくいった日は
すごく達成感があって
自慢もしたくなる

人から見れば「当たり前」でも
私にしては良く頑張ったほう
自分くらいしか
思い切り甘やかせないし
実は褒めて伸びるほうだから

そんな日に限って
自慢したい人は帰りが遅いという
帰りが遅いということは
頑張ってるということだ
おいそれと自慢なんかできやしない

帰ってきたら
やっぱり私が褒める番

それでも
早く帰ってこないかな
posted by 華涼紗乃 at 19:25| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"サンドイッチ"

そんなに好きなわけではないけれど
とにかく沈黙には耐えられないので

しょうがなく
部屋にいるときはテレビをつけている

何気なく見たパンのCM
真っ白の食パンに
ゆでたまごを刻んで
マヨネーズであえたものが
たっぷりとはさまれていた

白と黄色のコラボ
大きく映された断面は
今にもたまごがとろりと落ちそうなほどで
とてもとても美味しそう

食べたいな、と思った
作れるな、とその次に考えた
ゆでたまごはどうやって作るんだっけ?
記憶をたどりながら
鍋に水をはりたまごをいれて火にかける

15分後
できた卵をさましてむいて
マッシャーで潰しながらマヨネーズであえる
実家ではここに
塩と黒こしょうを少々入れていた

食パンを取り出して
バターを塗って
たまごをたっぷりと
ハムが余ってたから
それも一緒にはさんで
出来上がり

少し落ち着かせたら
食べやすい大きさに切って
食卓へ

ぱくりとかじりつくと
口いっぱいに懐かしい味
美味しい、すごく美味しい
幸せだ

簡単にできちゃった
簡単に…簡単に?

とてもとても小さく
とてもとても微妙に

何かがズレ始めた気がした
posted by 華涼紗乃 at 19:25| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"演技"

おやすみなさい、また明日ね
当たりの良いやわらかい笑顔で挨拶して
部屋の扉をそっと閉める

その瞬間
安堵のため息が出そうになるけれど
そこはぐっとこらえて

自分の部屋に向かい
中に入って
鍵を閉めてから

ようやく肩から力を抜く
引き出しから
細い煙草を取り出して火をつけた

あの子はもうこちらに落ちている
すごくうまくいっている希有なパターンだ
その分、向こうの世界がきっと何の希望もないのだろう

でもあの子が可哀相なのは
きっとこっちに来てから

光り輝く木苺は毒の実
こちらにこれるということは
向こうの世界で
もう二度と起きられないということ

ここはファンタジックで
夢のような冒険の舞台じゃない
あの子がここに永住することが確定した時点で
奴隷商人に売る算段はすでに出来ている

あともう少し

それまでは偽物の笑顔で精一杯の演技をして
野菜しか入ってないシチューを作るだけ
posted by 華涼紗乃 at 19:24| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月09日

"アラーム"

行き来する二つの世界
よく出来た夢かと思っていたけれど
あまりにも何もかもが生々しすぎた

そこは現実よりも厳しいけれど
何もかもが美しく
何もかもが綺麗で
新鮮な驚きに満ち溢れていた

自分の手や足を一杯に動かすから
随分と身体も心も軽くなった

その分、現実に帰ってきた瞬間
まずは絶望が始まる

手のひらに収まるくらいの
文明の利器が
とても面白みのない電子音で
私を現実へと引きずり戻す

現実にまだ存在するのに
捨てるわけには行かない
それは良くわかってるはずだけど

それでも

アラームの音を心底憎まずにはいられない
posted by 華涼紗乃 at 18:43| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"帰り道"

今日も一日仕事を終えた
ため息をついて
ディスプレイのウインドウを閉じ始めた

仕事はほとんど自動でこなしている
目や手は動くが
染み付いた習慣をなぞっているだけ

頭は全然別のことを考えているから
ときどき身体を手放すような感覚すらある

仕事終了の雑務を機械的に終えて
お先に失礼します、と挨拶する
返事はそこここから聞こえるが
誰も顔を見てはいない

仕事をこなす最低限の人間関係だけ
ここにあれば良い
挨拶しない、応答しないというのは目立ちすぎる
円滑に流れていけば
その中にいる人など誰も気にしないもの

帰り支度を終えて
何気なくスマートフォンの画面を見た
特に変化はない

美味しいもの
楽しいこと
キラキラ輝くネオンみたいに
街には満ち溢れているのかもしれない
けれど寄り道もせずまっすぐに家に帰る

事務的に、事務的に
機械的に、機械的に

もうすぐ私はいなくなる
ココから
だから何にも欲しくない

冷蔵庫には昨日作ったシチューがまだあるはずだ
ママさんのようにうまくは作れない

いやここでは美味しいはずがないんだよ
posted by 華涼紗乃 at 18:42| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"探索"

目が覚めたら本当の一日の始まりだ
今日も目覚めは最高で
窓から射しこむ太陽の光が清々しい

麻でできたさらりとした服を着て
革の靴を履いて部屋を出ると良い匂いがした

キッチンへ向かうと木のお椀に
野菜がごろごろ入ったシチューが
盛られているところだった

女性の持つ丸みと柔らかさを感じさせる
ここのママさんはとても優しい
いつもにこやかに挨拶してくれる
私も自然と笑顔で返していた
数ヶ月前から考えると驚くべきことだ

今日も探しに行くと告げると
心配そうな顔をしていた
そんなに急いで探さなくていいんじゃないの?
いいや、決めたのだ
冷たく硬く薄汚れた白い世界には
もう私はいたくないのだから

山に自生すると言われる
宝石のように光り輝く赤く透明な木苺
それを食べるとここにずっといられるらしい

自然に笑って自然に泣いて
野山を駆け回って
生きることを日々実感する
そういう生活がここにある

それこそが自分の生きる道だとそう信じられる
長いこと探した答えはもうすぐそこにある

元気よく行ってきますと告げて家を出た
今日こそは見つけてやる
posted by 華涼紗乃 at 18:41| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月26日

"時限爆弾"

準備は整った

もうここまで来たらどうしようもない
さんざん悩んで相当迷って
それで出した結論だから
あとは突き進むだけ

抜け殻みたいに生きてきた
生活がちゃんと安定していたし
このまま毎日普通に
朝が来て昼が来て夜が来てまた朝になって
そしていつか死ぬんだと思ってたけど

この生活を根底から
叩き壊さなきゃならなくなった
このまま抜け殻みたいに生きる方法も考えたけど

まだまだ時間がある
五体満足で健康な身体もある
やる気さえあればなんだって出来るのだ
地球の裏側にだって行こうと思えばいけるし
今から政治家にだってなれるかもしれない

そんな可能性を潰して
こんな変わり映えのしない安定にすがってていいのか
しかも手ひどい裏切りを受け続けてまで

一つ一つ着実に準備は整えた
ものすごいストレスで何度も吐いたけど
それも仕方のないこと

希望に向かって打ち上げる爆弾
あとは導火線に火をつけるだけ
さようなら、安定した生活

さようなら、あなた

posted by 華涼紗乃 at 19:58| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"寝不足"

私には尊敬する上司がいる
管理職は男性ばかりな私の会社の中で
唯一、女性で役職についている

すらっと背が高くて抜群のスタイル
いつもスタイリッシュなスーツを着こなし
髪の一筋までも油断なく
きりっとした表情

近づきがたく思えるのだけど
所々に見せる笑顔がとても華やか
いつもこんな女性になれたらなあと思う

そんな上司が今日はとても眠そうだ
あくびをかみ殺しているなんて
なかなかレアな表情だけど
一体どうしたんだろう?

ふと気づくとそんな上司を
ニヤニヤと見つめている男性の同僚がいた

上司は美人だから
よく見つめている男性社員はいるけれど
どれも憧れの視線という感じで
こんなに笑いをかみ殺すような表情で見る人などいない
それにその同僚はいつもは上司に興味がなさそうなのに

上司が同僚の視線に気がついた
ばっちり目線が合う

その瞬間、すべてがわかった気がした

視線と表情だけの会話
それも数十秒のこと
なのに何よりも雄弁に二人の関係を物語っていた

きっと二人は昨夜一緒にいて
寝不足になるほどの何かがあったのだろう

驚きとつい想像してしまったので
頭が混乱してぼんっと顔が熱くなった

こんなんじゃ仕事にならない
二人の顔もまともに見れそうもない
ちょっと涼んで一息入れよう
posted by 華涼紗乃 at 19:58| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"喫煙所"

煙草は身体に毒なんて百も承知である

でも吸う習慣がついてしまうと
やっぱりいろいろ便利なのだ

ある友人は二人目の彼女を作るときは
煙草をすわない人に決めているようだ
喫煙所に逃げ込んで電話やメールで
本命をごまかせるから
非喫煙者はあんなに煙たいところ
めったに入ってこないしな

それに「煙草を吸う姿」は非喫煙者から見ると
ある一種の憧れに近いようで
わりと女性に好まれる…らしい

テンション高く煙草はいいぞと後輩に語っていたが
そんな友人はもう何度も痛い目を見ているので
後輩にはあいつの言うことは話半分でと釘を刺しておいた

友人とは違うが煙草はいいと俺も思う
誰かと一緒のときふと一人になりたくなることがある
何となくリセットが必要なときが
今の世の中は喫煙者には厳しいから
喫煙所がそこから外れるいい口実

煙草を取り出し火をつけて口をつける
ふうっと煙を吐き出して
アクリルと白い煙の別空間で
つかの間の一人の時間を楽しむんだ
posted by 華涼紗乃 at 19:57| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。