2005年10月01日

“バケツ”

最初に気づいたのは音だった
ころころ、からから
強い風にあおられて
何か軽いものが転がるような

その日はとてもいい天気で
空は幼稚園児が書きなぐった
そのままの青と白
アスファルトは鈍い灰色で
垣根は鮮やかな緑

ころころ、からからん
振り返ると通り過ぎた十字路の左側から
ゆっくりとひどくゆっくりと
黄色い何かが転がってきた

近づいてみるとそれは
子どもが絵を描くときに使う
筆洗い用の小ぶりなバケツ

イチョウ型が2つ半円が1つに
区切られていたそのバケツは
紅い絵の具のあとが点々と
何を描いていたんだろう?

それよりも、これの持ち主は?
そう思った瞬間
バケツはくるりと反転して
その側面をあらわにして見せつける

あどけない黄色を染め上げる
絵の具ではない 偽物でもない
その赤を

遠くで悲鳴が聞こえた
posted by 華涼紗乃 at 00:20| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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