2013年04月24日

『後先』

 ───ああ、『枠』の中では。
 今日も明日も非道いことばかりが起きる。

 人間は何故、都合の良い誤解をするのだろう。
 どうしようもなく非力で絶望的に脆弱なその手で、
 世界の何かを変えられるなんて思ったりするんだろう。
 弱々しくてちっぽけで、限りある時間を生きることしか出来ない、
 無力で無価値で身の程知らずな人間達は。

 何度同じあやまちを繰り返してもいっこうに学ぶ気配すらなく、
 いまこの瞬間も世界のどこかで負の感情を連鎖させている。

 生きとし生けるモノ達が憎み合い殺し合う世界であるのなら、
 『虚ろ』に喰われてしまった方がまだしも幸福なのかもしれない。
 そもそもが時間の果てにおいては『竜』に喰われるさだめのものだ。
 その『枠』の中で流される、血にも涙にも、きっと意味など何もない。

 だから後先考えずに世界の全部を敵に回した彼らのしたことも、
 彼らが正義とみなす惨劇の犠牲となった人々の痛みも苦しみも悲しみも何もかもが、
 どうしようもなく、どうしようもなく無駄だったのだ。

 不可視の『引き金』を強く握りしめて、それなのに可能性を探る。
 何千回、何万回ものリトライの末に、彼らがしあわせになる未来もそれはあるだろうが、
 それとまったく同じ確率で、彼らがそうしたかったようにほんとうに世界を変えるという選択肢も、
 厳然として存在するのに違いない。
 大量の血が流れて、多数の人命が失われて、それでも『枠』の外側から見る限りでは、
 そのどちらの結末を世界が望んでいるのか、容易には判断がつかないのだ。
posted by 樋川春樹 at 02:01| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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