2013年02月27日

『成果』

 何もかも、ずいぶんと面白い方向に、動くものだね。
 この『枠』の中では、誰もがこぞって、自ら不幸になるために突き進んでいるようだ。
 あらゆるものごとは迅速にこなさなければならない。要領の悪い者、怠けている者は非難の目を向けられる。
 過剰な迅速さが生み出した空白の時間には、休養ではなく新たな仕事を詰め込んで。皆が揃って、束の間の息抜きさえせずに働き続けている。
 それほどの勤勉さも、成果を出すこと無しには評価されないシステムになっているのには、驚くばかりだ。自らの寿命を削り取るような熱心さで何十時間もぶっ通しで働いても、目に見えるかたちで良い結果をあげられなければそれは誰にも認められない。
 過程に価値はなく、最終的に何を得られるかが全て。個人個人が「努力をした」そんなことには意味がなく、勝ち上がった一人だけが賞賛される。
 この『枠』の中では、誰もが今にも死にそうなくらいにくたびれ果てている。
 自分が良い暮らしを送ろうと思うなら、ライバルである他者とは迂闊に馴れ合えない。だからほとんどの人間が、上辺は仲良く振る舞うとしても本当は孤独で、満たされない想いをずっと抱えている。身体に多大な負担をかけて睡眠や食事の時間を削って労働しているから、顔色も悪くて見るからに不幸そうだ。
 なのに誰一人として、立ち止まって振り返ることが出来ない。これはおかしい、こんなことはやめるべきだと、声をあげることも出来ない。自分だけが落伍するワケにはいかないから、歩みを止めれば即座に脱落してしまう仕組みが、『枠』の中に完成しているから。
 面白い状況が、出来上がるものだね。
posted by 樋川春樹 at 03:46| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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