2012年12月26日

『こまごまと』

 ひとりの一生に一度だけ、人生を変える運命の『引き金』。
 そんな噂を耳にしたのは、どこでだったか。
 灰色のコートを着た『引き金』の持ち主が現れて、一度だけ人生を変えてくれる。
 曖昧な、不確かな、漠然とした、───その噂。

 現状、人生に不満はない。
 いつでも元気はつらつとしてるわけじゃないけれど大きな病気や怪我もしていないし、欲しいものが何でも手に入るほど裕福なわけじゃないけれど多額の負債を抱えて困窮しているわけでもない。
 満足ではないけれど、不満でもない。
 きっと、大多数の人々と同じ。
 何かいいことがあればいいなとは思うけど。
 劇的な変化を必要とするほどじゃない。

 それでも、考えるだけならと、考えてみてしまう。
 自分の一生が一度だけ変わるとしたら、どんな風に変わってほしいだろう。
 もっと幸せになりたい。
 でも、どんな風に?
 思いを巡らせてみても、なんだかとてもこまごまとした、くだらないことしか思いつかなくて、ちょっとだけ自分にがっかりする。

 こんな私には、そんな大層な『引き金』は必要ないみたい。
 でも。
 それなら、その『引き金』の持ち主は一体どんな理由があって、そんな不思議なものを手に入れたというのだろう?
 そして、どうしてその『引き金』を使って、自分自身ではなく他人の運命を変えて回っているのだろう?
posted by 樋川春樹 at 21:53| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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