2012年12月19日

『たびたび』

 夢の中で夢から醒めて、その夢の中でまた夢を見ていた。
 暗い部屋の中で目を開いたとき、自分が一体どこにいるのかすぐにはわからなかった。
 夢の中なのか、現実なのか、それとも夢の中の夢の中なのか。

 ここは、現実。多分、だけど。

 夢はよく見るほうだ。
 よく見るほう……いや、ほとんど毎夜、見る。
 ひと晩に何本も。

 酷い夢。
 怖い夢。
 嫌な夢。
 暗い夢。
 重い夢。
 痛い夢。

 いい夢も、ちゃんと見る。

 たびたび見る夢がある。
 同じ夢ではないし、続きものというわけでもない。

 とある町で暮らしている夢。
 その町に住む人達を私は知っている。
 その町に住む人達も私を知っている。
 見慣れた景色−一度も見たことがないはずなのに懐かしい風景−次の角を曲がると何があるのか、夢の中の私は知っている−どこにあるのかもわからない町なのに。

 その町にある自分の家の、自分の部屋の自分のベッドで眠りに落ちて。
 現実、で目を醒ます。
 でも私は何故か知っている、自分がまたその町で暮らしている夢を見ることを、いつになるかはわからないけれど、その夢を必ず見ることを。
posted by 樋川春樹 at 02:49| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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