2012年11月21日

『コンディション』

 左の眼が。
 見えにくい。

 少しばかりダメージを喰らい過ぎてしまったのだろうか。
 そう言えばいつもよりも血を流してしまっている気がする。
 早くカタをつけてしまいたくて、ほんの少しだけ焦っていたかもしれない。
 かわせるものをかわさず、防げるものを防がなかった。

 良くない傾向だ。
 とても良くない傾向だ。

 自分達はいつだって最良のコンディションでいなくてはならない。
 いついかなるときでも全力で『マスター』の力となれるように。
 自分自身を最上最高の状態に保っていなくてはならない。

 こんなところでこんなときに、こんなくだらない傷を負ったりしていてはいけないのだ。

 傷口はすぐに修復されるし、失った血液はすぐに体内で生成されて補充される。
 視覚の不調も数分以内には回復するだろう。
 瓦礫に腰をおろしてじっとしていればわずかでも治りが早くなるだろうか。
 見渡す範囲内、自分の他に動くものは何もない。
 かつて動いていたもの達は自分が全て叩き壊してしまったから。

 左の眼が元に戻ったら、水が使えるところまで移動して、血みどろになっているに違いない顔と手を洗おう。
 どこかで新しい衣類は手に入るだろうか。出来れば鏡に代わるものもあればいい。
 帰る前にちゃんと身なりを整えたい。
 傷ついたまま、乾いた血をこびりつかせたままで戻ると、『マスター』を動揺させてしまうから。
posted by 樋川春樹 at 23:05| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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