2011年07月24日

『はさみ』

 5ミリ幅
 横に細くはさみを入れて
 今度はそこを
 同じように縦に
 目測で切ったにしては
 いやに整った印象を与える
 ちいさな正方形が
 ぱらぱらとくずかごに落ちる

 シュレッダーなんて上等なものはないから
 ひとつひとつこうやって手作業で
 地道にこまめに処分していくしかない
 別に手でこまかく引き千切っても構わないのだけど
 いずれにせよ大した違いはない
 ひとつひとつ手に取って確かめて
 万が一誰かの目に触れても
 すぐには判別出来ないように

 燃やしてしまえばいいのだろうけど
 あるいは墨で塗り潰してしまえば
 水の中に捨ててしまえば
 土に埋めるのはまずいかな
 でもその上に何か大きな建物を建ててしまえば
 一度に処理してしまえるのに
 そうは思ってもきっとそうすることは良くないのだろう
 ひとつひとつ
 かたをつけないと

 ぱらぱらと落ちる正方形
 記されていたのは氏名と年齢
 おびただしい数のそれが何だったのか
 誰も知る必要はない
 誰にも知らせる必要はない
posted by 樋川春樹 at 17:48| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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