2011年02月25日

『裏表』

 百三十人が死んだんだ
 爆発があったらしい

 女、子ども、老人、
 巻き込まれたのは一般市民ばかりだよ

 悲惨なものだね
 気の滅入る光景だ

 多数の人間を一度に殺傷できる
 強大な力を手にしたというのに
 それを正しく扱えなかった
 大馬鹿野郎がいたってことだろう

 物騒な話だよ
 でも、ほんとうによかった

 「そのとき」ここにいたのが
 ボクの大切なキミじゃなくて





 ぶちまけられた鮮血も、散乱する肉片も、
 くだけちったガラスの破片も、焼け焦げた金属のなれの果ても、

 肩をすくめて笑ってみせる彼の認識を、
 そよ風に吹かれたほども動かすことは出来ない。

 いま彼の目の前で、手の届くところで、
 無傷の私がこうして生きているのなら、

 彼の世界には何事も、
 起こっていないのと同じだから。

 驚くしかないほどに裏表なく、
 どこまでも私だけを見ている彼の世界は───
posted by 樋川春樹 at 00:59| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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