2011年02月19日

『入れ物』

 ───とても綺麗な硝子の器

 曲線はなめらかにそのかたちを描き
 薄い光を受けてそれは流水のよう
 手で指で触れられる事実が奇跡に近い

 澄み渡る、純粋な、すきとおった、その硝子

 脆くて儚くて、繊細であくまで弱いその器を
 さまざまなものが好き勝手に満たす
 遠慮容赦なく、寸瞬の躊躇もなく

 透明な器はひろく開け放たれていて
 何物であれ何一つ拒めない

 それが『入れ物』のさだめだからと
 声をあげることもせずにただ受け容れて

 受け容れて受け容れて、ひたすらに受け容れ続けて

 ───綺麗な器はくだけてしまった

 きらめく破片は粉々で、あまりにも粉々で

 かき集めることも出来やしない
 かぞえることも出来やしない
posted by 樋川春樹 at 23:05| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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