2013年06月19日

【指令】第33週:華涼→樋川

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ごきげんよう、樋川嬢

さて、今回の任務の内容を伝える。
以下の三つのタイトルについて文章作品を完成させて欲しい。

『切開』
『こぢんまり』
『アプリ』

・期限は2013年6月26日23時59分までとする。
・任務完了後、「@utanarahi」まで必ず報告をすること。

なお、次回の指令は2013年6月24日0時より、期限までに発表する。

では、任務の成功を心より祈る。


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posted by 華涼紗乃 at 16:37| Comment(0) | 指令書。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"システム"

さっきほどから
各方面からの連絡が入りだした
現在の状況と指示の要請

カチリカチリ
ライターのふたを開けたり締めたり
薄暗い部屋に
モニターの放つ青白い光が満ちる

もう少し、もう少し
パズルのピースを端から埋めていくように
慎重に慎重に
周りを固めて一滴の水も漏らさぬよう

システマチックに動く人々
どの人間にも心の底に持つものは同じだから
ここは歯車になることにむしろ誇りを持つ

たった一人の人間を追い詰めるために
大勢の悲しい思いをした人の心を背負って

カチンとひとしきり大きな音を立てて
火蓋は切って落とされた
posted by 華涼紗乃 at 16:36| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"透視"

超能力が欲しいならどんな能力が良い?

テレビで若い男の子が答えてた
もちろん透視能力が良い!何でも見放題!

気持ち悪い笑みはテレビ的にどうだろうか?
そんなにいいもんじゃないということだけは
教えたいと切に思うけれど

ある日衣服を認識しなくなった僕の目は
世の中の人が全員裸に見えた

最初は喜んだけれど
服という身体を覆う布は偉大なもので
着ることで人間の体を数倍
ラインよく綺麗に見せてくれる

綺麗な服来て着飾って
可愛い子は五万といるけれど
本当に美しいカラダを持っている人は少ない
となると
ただただ肌色の物体がうごめいてるだけで
ときには気持ち悪くすらなる

そして自分の服が選べないのもいたい
感触はあるから着ることは出来るけれど
自分がどんな格好なのかわからないというのは恐怖
自分ではみんな裸に見えてても
みんなはそうじゃないから
幸い、彼女がそこのところ面倒見てくれるから
良かったけれど

服でも、水着でも、下着でも
それがあるからこそイイものがある

何でも見通せりゃいいってもんじゃない
posted by 華涼紗乃 at 16:35| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"迷走"

ただ頭を遊ばせておくと
本当にろくなことなど考えない

こんなにも人は死にたいものなのかと驚くほどに
ぐるぐる迷走してはそこへたどり着く

退屈で退屈で
毎日が同じことの繰り返し
起伏のない年月は
膿んで腐って異臭を放つ

頭がその臭いに侵されていく
まあ、そういうもんなんだろう

その負の連鎖は自分が動くことで
普通解消されるけど
それすらも面倒くさいなら
もう本当に救いようがないね

制御を失ったラジコンカーのように
くるくるくるくるその場で回って
バックと前進を気がふれたように繰り返し
スピードもなくなって
気の抜けた音をさせながら壁に当たって止まる

暴走も出来ずに
ただただ
迷走だけを繰り返す
posted by 華涼紗乃 at 16:34| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【指令】第33週:樋川→華涼

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ごきげんよう、華涼嬢

さて、今回の任務の内容を伝える。
以下の三つのタイトルについて文章作品を完成させて欲しい。

『跡継ぎ』
『レターセット』
『パンフレット』


・期限は2013年6月26日23時59分までとする。
・任務完了後、「@utanarahi」まで必ず報告をすること。

なお、次回の指令は2013年6月240時より、期限までに発表する。

では、任務の成功を心より祈る。


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posted by 樋川春樹 at 16:33| Comment(0) | 指令書。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『キャラメル』

 深夜のファミリーレストラン
 客の姿もまばらな静まり返った店内で
 俺らの姿は奇異に映るだろうか

 ぼろぼろになったミリタリージャケットを着た男と
 笑えるぐらいに痩せ細って青白い顔色をしたガキと
 関係性のまったく読めない二人が向かい合って座っている

 おいしいものをおなかいっぱい食べたい、と言うからここへ連れて来た
 美味いかどうかは知らないがこんな時間にやっている飲食店なんてここぐらいしかない
 ガキはハンバーグとエビフライがついたセットを注文したが
 ハンバーグを半分以上残しやがった

 余りものを処理している俺に向かって
 次はあまいものが食べたいと言う
 好きにしろと言ってやると
 キャラメルハニーパンケーキとかいうものを注文して
 結局アイスもパンケーキも半分以上食べきれなかった

 他に何か欲しいものはあるかと問うと
 もう何もない、ありがとうと頭を下げる
 そんなワケはないだろう、と口から出かかるが
 これ以上を望まれたところで叶えてやることも出来ないのだ、と気づいて
 何も言わないでおいた

 世界は残酷な方向にだけ平等だ
 『枠』をどれだけ拡大しても
 一番悲惨な運命からは決して逃れられないのなら
 足掻くことにどれほどの意味があるというのだろう?

 食べ残したパンケーキをじっと見つめているガキの暗い瞳には
 もはや過去も未来も見えてはいない
 ただの手違いでほんの少しだけ伸びてしまった生の時間
 それもすぐに終わってしまう
 見なければ良かったような夢

 もしも生まれ変われるなら、

 小さくて臆病な声がかすかに空気を震わせる

 今度は、パパとママと、ずっと一緒に、しあわせに───、

 しまいまで言うことを恐れたかのように、ガキは急に口をつぐむ
 俺は聞こえなかったフリをして、真っ黒に塗り潰された窓の外に視線を投げる

 バカだな、お前どうして、もっと───。

 何か言い返してやりたかったが、こちらの言葉も形をとる前に消えてしまう

 『虚ろ』。
 世界を壊す−取り返しのつかないほどに−子ども達。
 愛されなかった連中は、それでも自ら愛さなかったことに対する報いを受ける。
 目の前にいるガキが人間として生まれ変わることはもうない。
 だから俺は、ここを出たらコイツを始末してしまわなければならない。
posted by 樋川春樹 at 16:31| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『べっとり』

 もう何枚も、『竜』の絵を描いた
 緑の表紙の、大きなスケッチブック
 『竜』はどれも、大きくて優美な翼をいっぱいに広げていて
 なのに、巨大な身体で精一杯に届かぬ空を見上げている

 『竜』の翼にはキズひとつなく力強くいつでも空を舞えそうなのに
 それでも『竜』は大地をしっかりと掴んだまま離さない空に焦がれているのに
 ああ、『竜』はきっと知っているのだ、と思う
 自らが大地を見限り飛び立つそのとき、『竜』は世界を喰わねばならない

 だから掴んだままのものを離せないのだ───
 この大地に『竜』が大事にしたいものがある───
 全てを喰らい尽くす運命に抗ってなお───
 その翼をいっぱいに広げながらも飛び立てない理由がある───

 空と同じ色をした大食らいの『竜』でさえ世界に執着すると言うのに
 スケッチブックをぱたんと閉じてため息をつく私の周囲では
 世界は右も左もべっとりとした悲しみと絶望に塗り潰されていて

 比類なき美しさを持つ『竜』の翼が華麗に空を舞うときに
 重苦しいあれやこれやからすっかり解放されることだけが
 私の望みであり救いであるというのに

 ああ、『竜』は一体何に心を奪われ自分の役目を忘れてしまったのか
posted by 樋川春樹 at 16:30| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『乱闘』

 最初に手にされた武器は、棍棒だったろうか、それとも尖った石だったろうか。
 明確な意思のもとに相手に振り下ろされるために手に取られるその道具。
 それを手に入れたその瞬間から、人間の争いの歴史は始まったのに違いない。

 無数の怒号と悲鳴が入り乱れて、ひとつの大きな音になる。
 すぐそばにいる若い兵士はきっと、自分がわめき続けていることを認識していない。
 戦場という特異な状況で間近に迫る死の恐怖と殺戮の衝動に全身を支配されて、完全に我を忘れている者が大半。
 手のつけられない乱闘の中で、味方を−友人達を−手にかけていても、まるで気づいていない。

 愚かしくも悲惨なことだ、と周囲の状況を確認する。
 感情に流されやすい人間達は自分自身をも制御しきれない。
 この大地に染み込む血液の内の何割が流されなくとも良かったものなのか、それを割り出すことはかなり難しいだろう。

 最初に手にされた武器は、どのような意思のもとに振り下ろされたのか?
 愛する者を非道なふるまいから守るため、では、きっとなかっただろう。
posted by 樋川春樹 at 16:29| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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