2013年06月26日

【指令】最終週:華涼→樋川

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ごきげんよう、樋川嬢

さて、今回の任務の内容を伝える。
以下の一つのタイトルについて文章作品を完成させて欲しい。

『最果て』

・期限は2013年7月3日23時59分までとする。
・任務完了後、「@utanarahi」まで必ず報告をすること。

なお、次回の指令は2013年7月1日0時より、期限までに発表する。

では、任務の成功を心より祈る。


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posted by 華涼紗乃 at 23:31| Comment(0) | 指令書。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"パンフレット"

全部、全部とっておくのよ
あなたといった場所の思い出の品は

映画のパンフレット
住宅展示場のパンフレット
結婚式場のパンフレット

全部、全部

あなたの声も残らず録っておくの
カメラを回したらさすがに失礼だから
声だけでもちゃんとね

何回も見て、何回も聞いて思い出すの
あのときの幸せな気持ちとか
あのときのあなたの表情とか

だってもうあなたは私の傍にいられないもの
しょうがないわよね?
私を騙すなんて本当にタチの悪い冗談だわ
だからしばらくお灸をすえてもらうの

大丈夫、ときどきは会いに行くわ
ちゃんと反省したら迎えにも
いってあげるからね

そのときは

忘れ物なく、時間もぴったりに
完璧なタイミングで現れるから待っていてね


posted by 華涼紗乃 at 23:28| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"レターセット"

新品のレターセットを買ってきた
真っ白の紙に灰色の罫線だけひいてある便箋
郵便番号を入れる欄だけ真っ赤に印刷されている封筒

今から書く文章に
最大限のインパクトを与えるため
極端にシンプルなものを選んだ

ふうと一息ついて
ブルーブラックのボールペンで書き出す
三行書いて丸めてポイ
五行書いて破いてポイ
恨みつらみが多すぎて
ひとつの話を完結する前に
他の話が浮かび上がってきてどうにもならない

頭をぐしゃぐしゃとかきむしる
もうあの人のことで悩まされるのは嫌なのだ
だから短く書いた

この期に及んであれもこれも書いたって
何にもわかってなんてくれないだろうから

私のことは忘れてください
死んだと思ってください
私もあなたのことを死んだと思うことにします
もう二度と会うことはありません
永遠にさようなら

便箋の真ん中にそう書いて
最後に署名をしたためた
三つ折りにして封筒に入れる

あの人がこれに気づく頃
私はすでに空の上だ

あの人を国ごと捨てていく
もう戻らない、永遠に

posted by 華涼紗乃 at 23:27| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"跡継ぎ"

生まれたときからその後の生き方が
何もかも決まっている人というのは確かにいる
小さい頃からその世界に閉じ込められ
その世界でしか生きられなくされていく

何らかの葛藤がありながらも
そのまま生きることは
その生き方に何らかの魅力があるからなのだろう

何の道筋も決められず
すべて自由に生きてきたといっても
所詮は何もかも流されて
そこそこの場所にいてさえ

生きるのに窮屈なのは何も変わらない
posted by 華涼紗乃 at 23:26| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【指令】最終週:樋川→華涼

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ごきげんよう、華涼嬢

さて、今回の任務の内容を伝える。
以下の一つのタイトルについて文章作品を完成させて欲しい。

『起承転結』

・期限は2013年7月3日23時59分までとする。
・任務完了後、「@utanarahi」まで必ず報告をすること。

なお、次回の指令は2013年7月1日0時より、期限までに発表する。

では、任務の成功を心より祈る。


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posted by 樋川春樹 at 19:47| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『アプリ』

「それじゃあ、このアプリの使い方を簡単に説明しておくよ。マップ上のこのマークが自分の現在位置。目的地は複数指定可能で、ここをタップするとガイドカーソルが表示されて、おおよその距離と到達予測時間がここに出る。現在位置はリアルタイムに反映され続けて、測定誤差は1センチ未満だから、この画面さえ見てれば道に迷うことはないよ。ん、何か質問? え、今いるココは中世ヨーロッパでGPSなんか存在しないのにどうやって現在位置を測定してるのかって? それに、航空機から観測でもしなければ描けないほど精巧な、この時代には絶対存在しないほどの詳細な地図がここに表示されているのはどうしてかって? うん、とても良い質問だけど、残念ながら今はそれを事細かに説明している時間がないから、『十分に発達した科学は魔法と見分けがつかない』とだけ言っておくよ。次に、目的地の指定の仕方だけど、これには音声認識が利用出来て……」
posted by 樋川春樹 at 19:42| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『こぢんまり』

 テーブルの上で開いたノートパソコンのまわりに、やることを終えたみんながいつの間にか集まってくる。
 モニタ一面に表示された画像検索の結果一覧、その膨大な写真の列を眺めながら。
 こういう雰囲気がいい、こっちのこれも捨て難いんじゃないか? なんてとりとめのないことを口々に発言し合う。

 どこか静かな町に、こぢんまりとした可愛らしいカフェをつくって、平穏に生きてゆこう。
 ふつうの人間みたいに。

 思いつきの冗談だったその計画は皆で話題に乗せあっているうちにだんだんと明確な夢となり、いつしか叶えたい将来設計へと姿を変えていた。
 どういう内装にするか、どんな感じの食器を揃えるか、扱うメニューはどうするか、こうなったら制服だってデザインしてみよう。

 ドリンク単品にも、ちょっとしたお茶菓子をサービスするようにしよう。クッキーをたくさん焼いておいて、お皿の端にちょっと添えたりして。そうして、半日でも一日中でも長くいてもらえるぐらい、居心地の良い空間にしよう。採算がとれなくても構わない、自分達はお金を儲ける必要なんてないんだから。

 最初の最初からヒトではない彼らと、もうじきヒトではなくなってしまう私とが、人間としての平穏な暮らしに思いを馳せつつ、手が届きそうな錯覚に彩られた希望を語り合う。それはきっと叶わぬ夢などではなく本気でやろうと思えば今すぐにも実現出来る程度のもので、でもそれを本当にはしないでいつだって変更可能な曖昧な幻想として共有することで、私達は「同じ夢をみる」という遊びにいつまでも浸っていられる。
posted by 樋川春樹 at 19:41| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『切開』

「コインロッカー、また開いたんでしょう? 今度はどんなヒトだった?」
「うん、女子高生だった」
「都市伝説とか真に受けるのはやっぱりその年代かぁ。『引き金』で何をしたいって言われたの?」
「二重まぶたに整形したいって言われた」
「二重まぶたに……、───え?」
「生まれつき片方が一重でもう片方が二重なのがコンプレックスで、対人関係や恋愛にも臆病になりがちだから、『ひとりの一生に一度だけ運命を変えられる引き金』の力でちゃんとした二重まぶたを手に入れて自信に満ちた明るい人生を手に入れようと思ったらしい」
「それは……うーん、そういう解釈になるのか……」
「一応、この『引き金』にはもっとすごい力があるしまぶたを二重にするだけならアイプチとか整形とか、後はオトナになったら勝手に二重になる場合もあるって説明はしたけど、譲ってもらえなくて……」
「整形手術? まぶたを切開したり糸みたいのを埋め込んで二重にするっての、そう言えば聞いたことあるな……」
「しょうがないから二重まぶたにしてあげた」
「そんなことも出来るんだ『引き金』?!」
「やろうと思えば何でも出来るものなんだね……」
「運命変えることなら何でもアリなんだ『引き金』……」
posted by 樋川春樹 at 19:41| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月19日

【指令】第33週:華涼→樋川

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ごきげんよう、樋川嬢

さて、今回の任務の内容を伝える。
以下の三つのタイトルについて文章作品を完成させて欲しい。

『切開』
『こぢんまり』
『アプリ』

・期限は2013年6月26日23時59分までとする。
・任務完了後、「@utanarahi」まで必ず報告をすること。

なお、次回の指令は2013年6月24日0時より、期限までに発表する。

では、任務の成功を心より祈る。


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posted by 華涼紗乃 at 16:37| Comment(0) | 指令書。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"システム"

さっきほどから
各方面からの連絡が入りだした
現在の状況と指示の要請

カチリカチリ
ライターのふたを開けたり締めたり
薄暗い部屋に
モニターの放つ青白い光が満ちる

もう少し、もう少し
パズルのピースを端から埋めていくように
慎重に慎重に
周りを固めて一滴の水も漏らさぬよう

システマチックに動く人々
どの人間にも心の底に持つものは同じだから
ここは歯車になることにむしろ誇りを持つ

たった一人の人間を追い詰めるために
大勢の悲しい思いをした人の心を背負って

カチンとひとしきり大きな音を立てて
火蓋は切って落とされた
posted by 華涼紗乃 at 16:36| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"透視"

超能力が欲しいならどんな能力が良い?

テレビで若い男の子が答えてた
もちろん透視能力が良い!何でも見放題!

気持ち悪い笑みはテレビ的にどうだろうか?
そんなにいいもんじゃないということだけは
教えたいと切に思うけれど

ある日衣服を認識しなくなった僕の目は
世の中の人が全員裸に見えた

最初は喜んだけれど
服という身体を覆う布は偉大なもので
着ることで人間の体を数倍
ラインよく綺麗に見せてくれる

綺麗な服来て着飾って
可愛い子は五万といるけれど
本当に美しいカラダを持っている人は少ない
となると
ただただ肌色の物体がうごめいてるだけで
ときには気持ち悪くすらなる

そして自分の服が選べないのもいたい
感触はあるから着ることは出来るけれど
自分がどんな格好なのかわからないというのは恐怖
自分ではみんな裸に見えてても
みんなはそうじゃないから
幸い、彼女がそこのところ面倒見てくれるから
良かったけれど

服でも、水着でも、下着でも
それがあるからこそイイものがある

何でも見通せりゃいいってもんじゃない
posted by 華涼紗乃 at 16:35| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"迷走"

ただ頭を遊ばせておくと
本当にろくなことなど考えない

こんなにも人は死にたいものなのかと驚くほどに
ぐるぐる迷走してはそこへたどり着く

退屈で退屈で
毎日が同じことの繰り返し
起伏のない年月は
膿んで腐って異臭を放つ

頭がその臭いに侵されていく
まあ、そういうもんなんだろう

その負の連鎖は自分が動くことで
普通解消されるけど
それすらも面倒くさいなら
もう本当に救いようがないね

制御を失ったラジコンカーのように
くるくるくるくるその場で回って
バックと前進を気がふれたように繰り返し
スピードもなくなって
気の抜けた音をさせながら壁に当たって止まる

暴走も出来ずに
ただただ
迷走だけを繰り返す
posted by 華涼紗乃 at 16:34| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【指令】第33週:樋川→華涼

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ごきげんよう、華涼嬢

さて、今回の任務の内容を伝える。
以下の三つのタイトルについて文章作品を完成させて欲しい。

『跡継ぎ』
『レターセット』
『パンフレット』


・期限は2013年6月26日23時59分までとする。
・任務完了後、「@utanarahi」まで必ず報告をすること。

なお、次回の指令は2013年6月240時より、期限までに発表する。

では、任務の成功を心より祈る。


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posted by 樋川春樹 at 16:33| Comment(0) | 指令書。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『キャラメル』

 深夜のファミリーレストラン
 客の姿もまばらな静まり返った店内で
 俺らの姿は奇異に映るだろうか

 ぼろぼろになったミリタリージャケットを着た男と
 笑えるぐらいに痩せ細って青白い顔色をしたガキと
 関係性のまったく読めない二人が向かい合って座っている

 おいしいものをおなかいっぱい食べたい、と言うからここへ連れて来た
 美味いかどうかは知らないがこんな時間にやっている飲食店なんてここぐらいしかない
 ガキはハンバーグとエビフライがついたセットを注文したが
 ハンバーグを半分以上残しやがった

 余りものを処理している俺に向かって
 次はあまいものが食べたいと言う
 好きにしろと言ってやると
 キャラメルハニーパンケーキとかいうものを注文して
 結局アイスもパンケーキも半分以上食べきれなかった

 他に何か欲しいものはあるかと問うと
 もう何もない、ありがとうと頭を下げる
 そんなワケはないだろう、と口から出かかるが
 これ以上を望まれたところで叶えてやることも出来ないのだ、と気づいて
 何も言わないでおいた

 世界は残酷な方向にだけ平等だ
 『枠』をどれだけ拡大しても
 一番悲惨な運命からは決して逃れられないのなら
 足掻くことにどれほどの意味があるというのだろう?

 食べ残したパンケーキをじっと見つめているガキの暗い瞳には
 もはや過去も未来も見えてはいない
 ただの手違いでほんの少しだけ伸びてしまった生の時間
 それもすぐに終わってしまう
 見なければ良かったような夢

 もしも生まれ変われるなら、

 小さくて臆病な声がかすかに空気を震わせる

 今度は、パパとママと、ずっと一緒に、しあわせに───、

 しまいまで言うことを恐れたかのように、ガキは急に口をつぐむ
 俺は聞こえなかったフリをして、真っ黒に塗り潰された窓の外に視線を投げる

 バカだな、お前どうして、もっと───。

 何か言い返してやりたかったが、こちらの言葉も形をとる前に消えてしまう

 『虚ろ』。
 世界を壊す−取り返しのつかないほどに−子ども達。
 愛されなかった連中は、それでも自ら愛さなかったことに対する報いを受ける。
 目の前にいるガキが人間として生まれ変わることはもうない。
 だから俺は、ここを出たらコイツを始末してしまわなければならない。
posted by 樋川春樹 at 16:31| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『べっとり』

 もう何枚も、『竜』の絵を描いた
 緑の表紙の、大きなスケッチブック
 『竜』はどれも、大きくて優美な翼をいっぱいに広げていて
 なのに、巨大な身体で精一杯に届かぬ空を見上げている

 『竜』の翼にはキズひとつなく力強くいつでも空を舞えそうなのに
 それでも『竜』は大地をしっかりと掴んだまま離さない空に焦がれているのに
 ああ、『竜』はきっと知っているのだ、と思う
 自らが大地を見限り飛び立つそのとき、『竜』は世界を喰わねばならない

 だから掴んだままのものを離せないのだ───
 この大地に『竜』が大事にしたいものがある───
 全てを喰らい尽くす運命に抗ってなお───
 その翼をいっぱいに広げながらも飛び立てない理由がある───

 空と同じ色をした大食らいの『竜』でさえ世界に執着すると言うのに
 スケッチブックをぱたんと閉じてため息をつく私の周囲では
 世界は右も左もべっとりとした悲しみと絶望に塗り潰されていて

 比類なき美しさを持つ『竜』の翼が華麗に空を舞うときに
 重苦しいあれやこれやからすっかり解放されることだけが
 私の望みであり救いであるというのに

 ああ、『竜』は一体何に心を奪われ自分の役目を忘れてしまったのか
posted by 樋川春樹 at 16:30| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『乱闘』

 最初に手にされた武器は、棍棒だったろうか、それとも尖った石だったろうか。
 明確な意思のもとに相手に振り下ろされるために手に取られるその道具。
 それを手に入れたその瞬間から、人間の争いの歴史は始まったのに違いない。

 無数の怒号と悲鳴が入り乱れて、ひとつの大きな音になる。
 すぐそばにいる若い兵士はきっと、自分がわめき続けていることを認識していない。
 戦場という特異な状況で間近に迫る死の恐怖と殺戮の衝動に全身を支配されて、完全に我を忘れている者が大半。
 手のつけられない乱闘の中で、味方を−友人達を−手にかけていても、まるで気づいていない。

 愚かしくも悲惨なことだ、と周囲の状況を確認する。
 感情に流されやすい人間達は自分自身をも制御しきれない。
 この大地に染み込む血液の内の何割が流されなくとも良かったものなのか、それを割り出すことはかなり難しいだろう。

 最初に手にされた武器は、どのような意思のもとに振り下ろされたのか?
 愛する者を非道なふるまいから守るため、では、きっとなかっただろう。
posted by 樋川春樹 at 16:29| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月12日

【指令】第32週:華涼→樋川

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ごきげんよう、樋川嬢

さて、今回の任務の内容を伝える。
以下の三つのタイトルについて文章作品を完成させて欲しい。

『乱闘』
『べっとり』
『キャラメル』

・期限は2013年6月19日23時59分までとする。
・任務完了後、「@utanarahi」まで必ず報告をすること。

なお、次回の指令は2013年6月17日0時より、期限までに発表する。

では、任務の成功を心より祈る。


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posted by 華涼紗乃 at 18:49| Comment(0) | 指令書。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"話題"

ちょっと話があるんだけど

この切り出し方で始まると背筋が冷える
また何かしただろうかとドキドキする

だいたいしょうもない話題なんだけど
ときどき深刻な話になるから

そうなったら、とりあえず
相手の話はさえぎらず
うんうん、と聞いて
誠心誠意、真摯なフリをして謝る
本当にそう思ってるの?!なんて
言われた日にはキレそうになるけど
ぐっと下腹に力をこめて耐える

たまに我慢までして
一緒にいたいかと思うときもあるけど
何でか自分から迷いなく
「一緒にいたい」との返答があるので
ならしょうがないと諦めてる

惚れてるっていうと何か違う気がする
一緒に話してて楽しいとか
一緒にいて心が安らぐとか
良いとだめな境界が似てるとか
そんな打算的な感じで

うーん、やっぱ惚れてんのかな

良かった、今日はしょうもない話題だ
ほっとしてたら、聞いてる?と
慌ててうなづいて、話し出す

この時間、うん、悪くないな
posted by 華涼紗乃 at 18:43| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"出発"

今日も夕焼けを見ながら考える
ここに留まっていていいのかと

何も不自由はしていない
仲間たちとは気が合うし
心配になるほど働き者のアイツがいるおかげで
毎日がとてもとても快適だ

だけど平穏すぎて変化がない
このいいところ過ぎるココを
普通に出て行った仲間もたくさんいる
だから何度もココから出て行こうした

だけど涙を浮かべて
旅立ちを応援しようとしてくれる
あいつの顔を見ると
なんだかんだ理由をつけて出て行けない

たまに遠出して聞こえてくる話によると
最近は本当にこんな快適なところは
珍しいくらいらしいから

アイツがあんまり働き者でなくなって
だんだんとここから離れていく日が来るだろう

そのときにこっそりと内緒で
ここを出て行けばいいかと最近思う

バタバタと後ろから
駆け寄ってくる音がする
頼んだ仕事をもうやってくれたみたいだ

報告するときの笑顔を見ると
見守らなくちゃなと思う

出発はまだまだ先になりそうだ
posted by 華涼紗乃 at 18:43| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"カード"

板チョコのひとかけらのような
小さくて薄く黒いカード

この中には膨大な個人情報が詰め込まれている
電子の海に流してしまえば
破滅する人間は後を絶たない

こんな指でつまめるほどのものに
人生狂わされるなんて
納得がいかないけれど、そんなものだ

所詮、人を取り巻くのは情報でしかない
様々な感覚器で情報を感知し
それによって生きているだけだ
その情報は簡単に小さく
まとめてしまえる世の中になってしまった

図書館の片隅で
弁当箱サイズのノートブックにカードを差込んだ
キーボードをカタタタタン
情報は電子の海に流れていく

簡単、簡単
世界を掌握するのも
人類を滅亡させるのも
多分、今は、こんな感じで
最後は一瞬で決まるのだ

そこここで、早速小さく悲鳴が上がりはじめた
ここは図書館なのに
静かにしないとダメなのになぁ
posted by 華涼紗乃 at 18:42| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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