2013年04月10日

【指令】第23週:華涼→樋川


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ごきげんよう、樋川嬢

さて、今回の任務の内容を伝える。
以下の三つのタイトルについて文章作品を完成させて欲しい。

『靴下』
『もっとも』
『キッチン』

・期限は2013年4月17日23時59分までとする。
・任務完了後、「@utanarahi」まで必ず報告をすること。

なお、次回の指令は2013年4月15日0時より、期限までに発表する。

では、任務の成功を心より祈る。


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posted by 華涼紗乃 at 17:39| Comment(0) | 指令書。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"ファミレス"

ファミレスというものは
とても手軽でなおかつ人が適度にいる場所
なので揉め事の話し合いに使われやすい

密室よりは安全が確保できる
それが第一だろう
なんせ人目につく
見てないようで見られているものだし
店員は店の隅々まで
神経を張り巡らせているものだ
…程度の差はあれど

暴力、暴言の類は自然に抑制される
…はずなのだが
頭に血がのぼるとそうは行かない人種もいる

飲み物のかけあい
テーブルにある備品の投げつけ
グラスが割れたりなんてことも
…そしてごく稀に店員の額が割れることも

ため息をついて
おそるおそる額を触る

綺麗に切れたものだ
額の真ん中から血が噴水のように
孤を描いて飛んでった時は相当驚いた

結局、大事にはならず
大きな絆創膏ひとつですんだものの

時給800円でこの危険度
ファミレスなめてた
早々にもっといいバイト探さなきゃ
posted by 華涼紗乃 at 17:34| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"混雑"

タイミングを合わせれば
混雑している人ごみの中でも
すいすいと進むことはできる

進行方向が同じ流れに
滑り込めばいい

そんなこと造作もなく
やってきたことなのに
人ごみを歩くことから離れると
こんなにも恐ろしいものなんだな

四方八方から流れてくる人、人、人
スピードはまちまちで
たまに弾丸みたいに飛んでくる人も
…もう少し余裕を持って行動してよ
舌打ちさえしたくなる

でもこの手は離さない
二人で行こうね
いつでも一緒だよ
試練は乗り越えるために用意されるんだ

だから出来るだけ笑っていこう

たくさんの人がいるけど
結局、二人なのだから
進めるスピードで
上手く流れにのろうね
posted by 華涼紗乃 at 17:33| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"告げ口"

同意も非難もしてはいけない
相槌だけ適当に打っておく

告げ口する快感は忘れられない
このことを彼に彼女に
告げたらいったいどうなるだろう

実は二股かけてるとか
実は全然好きじゃないとか
身体のここが気に入らないとか
ものすごく軽蔑してる部分があるとか

そこを押し隠して
さらっと笑顔でやり取りするのが
スマートだけどストレスはたまるから
こんな風に手近で口から本音が出ちゃうんだね

心の中でしっかりメモって
相手が幸せの絶頂にいるときに
その端っこだけちらりと見せる

小学生みたいに全部報告しちゃ
ただ私が嫌われるだけだもの
効果的な告げ口の方法はあるものだ

あとは黙ってても
面白いように転がってゆく

大変だね、と言いながら
心の中で高笑いが止まらない
posted by 華涼紗乃 at 17:32| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月03日

【指令】第22週:華涼→樋川

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ごきげんよう、樋川嬢

さて、今回の任務の内容を伝える。
以下の三つのタイトルについて文章作品を完成させて欲しい。

『消毒』
『どっちみち』
『フェニックス』

・期限は2013年4月10日23時59分までとする。
・任務完了後、「@utanarahi」まで必ず報告をすること。

なお、次回の指令は2013年4月8日0時より、期限までに発表する。

では、任務の成功を心より祈る。


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posted by 華涼紗乃 at 18:56| Comment(0) | 指令書。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"報告書"

出張の報告書を出すようにと
上司からメールが来ていた

社内メールはCCやBCCに
複数アドレスが入っている場合がある
把握するため、ということだが
結局監視が目的なのだろう

だから携帯メールでは
いつも甘えたな上司も
キリッとした表情のないメールを送ってくる

公私混同は避けるべきなのは
十分良くわかっているし
社内恋愛は禁止されてはいないが
いろいろな火種をうむ元となる

しょうがないのは良くわかっているけれど
今、現在、付き合って半年の
絶頂の盛り上がってるこの時期に
これは少々面白くない

…あれ?
一箇所変に改行されている
何だろう?
そこをじいっと眺めてみると
タテヨミで「あイシてる」
思わず上司を振り返ったら
こちらは見なかったけど耳が真っ赤だ

やってくれた
よし、報告書の作成だ
どんな暗号で
この気持ちを伝えようかな
posted by 華涼紗乃 at 18:50| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"使いまわし"

何度も何度も繰り返しやってると
本当に自分の癖に嫌になる

言葉の選び方、並べ方
全然違うようにやってるつもりなのに

結局は気に入った表現や
雰囲気を使いまわしてるもんだから
いつも通りのできばえ

似たり寄ったりの作品なんて
もうたくさんすぎてどうしようもない

らしくなく、かっこよく
よく出来たなんて思えるものは
もう、ほんのほんの一握り

綴ることに意味がある
作品として完成させることに意味がある

そうは思ってはいても
もう少し高みを目指せないものかと
呆れながら思う

その高みさえ見えていないのだから
とりあえずいろんな刺激に身をさらしつつ

書いて、書いて、書きまくるしかないのだ
posted by 華涼紗乃 at 18:49| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"透明感"

見渡す限りの雲ひとつない空
高く、高く
視線の高度を上げるたびに深まっていく青

聞こえてくるのは
穏やかに重なり合う波の音
凪いだ海がしぶくのは波打ち際だけ
深く遠く続く蒼

キラキラと輝く陽射し
ゆらゆらと踊る風

大きく手を広げて
大きく息を吸い込んで
指先からつま先まで
溶け込むように深く深く

この何もない世界に染まる
どこまでも濁りのないここに

見えなくなる
触れなくなる
存在そのものが消え去る

あらゆる先端から水滴となって
ほどけて空へ海へ還ってゆく

汚れきって淀みきっているのに
包み込んでもなお侵されない

後悔はない
やっとこれで綺麗になれる

posted by 華涼紗乃 at 18:49| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【指令】第22週:樋川→華涼

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ごきげんよう、華涼嬢

さて、今回の任務の内容を伝える。
以下の三つのタイトルについて文章作品を完成させて欲しい。

『告げ口』
『混雑』
『ファミレス』


・期限は2013年4月10日23時59分までとする。
・任務完了後、「@utanarahi」まで必ず報告をすること。

なお、次回の指令は2013年4月8日0時より、期限までに発表する。

では、任務の成功を心より祈る。


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posted by 樋川春樹 at 00:13| Comment(0) | 指令書。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『クリームソーダ』

 あんときお店で飲んだみたいなのうまくできない、泡だらけになって全部こぼれちゃう!
 うわナニこの緑色の液体? テーブルの上べったべたじゃないか! また要らないコトばっかりする!
 お店で飲んだのって、どれのこと? その緑色のは、メロンソーダ?
 これにアイスクリームとさくらんぼがのっかってたヤツ。
 ああ、クリームソーダか。思い出した、あのときも不用意にかき混ぜてテーブルの上めちゃくちゃにしてたよね、おマエ。
 クリームソーダ、気に入ったの? また飲みに行く?
 ううん、飲みに行くんじゃなくて、ジブンでつくれるようになりたい。ジュースの上にアイスのっけるだけだから、絶対カンタンだと思ったのに……。
 まったく、どんなときでもあさはかな奴だな、おマエは。テーブルの上ちゃんと拭きなよ。あとその泡だらけの物質ももったいないからちゃんと飲み干せよ。
 こつがいるんだよ、丁寧にやらなきゃダメだよ。カンタンだと思って無造作にアイスをのっけちゃったんでしょう? そっとやらないと。
 そうなの? どうやるの? できるの?
 コイツの相手なんてしてやる必要ないのに───ああっ、テーブル拭くのはそいつにやらせようよ! キミはいつでも優しすぎるんだから!
 アイスを入れる前に、炭酸がおさまるのを待つんだよ。それから、グラスのふちに沿わせる感じで静かにアイスを置くようにするの。焦らないでゆっくりやるようにすれば、きっとうまくいくよ。
 ゆっくり、テイネイに、かあ。わかった、もっかい頑張ってみる! うまく出来たら飲んでくれる? あ、おマエには飲ませてやんないけど。
 飲みたいとか言ってないし。飲まないし。
 もー、そんなコト言わないで仲良く一緒に飲もうよ。みんな一緒の方がきっと美味しいよ。───ね?
posted by 樋川春樹 at 00:11| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『さりとて』


 どこかでなにかを間違ってしまったんじゃないか、なんて、

 平和なことをまだ考えている自分自身に嫌気が差した。

 どこかでなにかを間違った?

 つまり『少なくともそれまでは正しいルートを進んでいた』とでも?

 ゆるんだ口もとにこぼれた笑みは、ぞっとするくらい空虚なもので。

 この期に及んでまだそんなことを考えているから───考えようとしているから。
 駄目なのだと。



 不幸ではない、さりとて、幸福でもない。

 生まれたときから延々と維持され続けたその状況こそが答え。
 不幸になるほど世界から憎まれもせず。
 幸福になるほど世界から愛されもせず。

 ただただ、目に見えないもののように無視され続けていたんだ。

 はじめから、全然関係ないところにいたんだよ。

 最初から正しくもなかったし、間違ってもいなかった。



 そういった評価とはまるで無関係なところにいたんだ。
posted by 樋川春樹 at 00:11| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『屏風』

 ああ、酷いことに、本当に酷いことになってしまった。
 どうしてこんな酷い事態になってしまったんだろう。
 知らず笑いが込み上げて来る。
 予想外過ぎて愉快になってきた。

 無数の丸テーブルと椅子とが床にひっくり返って散乱している。
 ぐしゃぐしゃになった白いテーブルクロスにはいくつもの足跡。
 何のパーティーが開かれていたのだろう?
 今ではもう知る術もない。
 壇上には折れたスタンドマイクと引き裂かれた金屏風。
 レンタル品だとしたら弁償する金額はいくらになるだろうね?
 返り血で汚れなかったのはせめてもの救いなのか、でももうそんなことに意味はない。
 この『枠』は壊れるのだから。

 豪華なカーペットの上で砕けている食器の破片をぞんざいに避けながら、あちこちに倒れている『木偶』をひとつひとつ確認して回る。
 原型を留めないほど壊れているものでも一応ブーツの先でつついてみる。
 死んだフリなんていう姑息な真似をしてこちらの不意をつこうとしてくる奴もときどきいるのだ。
 念入りな確認を済ませて、今回も無事に自分の役目を終えたことにほっと息をつく。

 この『枠』の『自滅』によりいまボクが成し遂げたことはまるで意味のないコトに成り下がってしまったけれど───問題はない、『マスター』の指示通りには行動出来たんだし、この『枠』が壊れることとボクとは何の関係もないのだから。

 とは言え、本当に酷いことになったものだ。
 また笑い出しそうになってしまう。
 おめでたい席だったのだろうに。
 パーティーがいつ行われてたのかは知らないけれど。
 こういう場所で立ち回りを演じるのも、たまには刺激的で良かったと思うよ。
posted by 樋川春樹 at 00:10| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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