2013年03月20日

【指令】第20週:樋川→華涼

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ごきげんよう、華涼嬢

さて、今回の任務の内容を伝える。
以下の三つのタイトルについて文章作品を完成させて欲しい。

『憶測』
『ストーカー』
『動物園』


・期限は2013年3月27日23時59分までとする。
・任務完了後、「@utanarahi」まで必ず報告をすること。

なお、次回の指令は2013年3月25日0時より、期限までに発表する。

では、任務の成功を心より祈る。


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posted by 樋川春樹 at 22:22| Comment(0) | 指令書。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『ワンピース』

まだわたしがちいさかった頃
世界はひろくどこまでも不思議に満ちていて
世の中を動かしてるおとな達がとてもすごい存在に思えた

彼らはきっと何もかもをきちんと把握して理解していて
皆が皆責任感を持って正しいことばかりをするのだろう
わたしもいずれはそんな彼らの一員となり
社会における義務を果たしてこの世の中を動かしてゆく役に立つのだ

ずっとそう考えそうするつもりで生きてきたのに
なのにどうやらおとな達はそれほどすごい存在ではないらしい
実際のところは誰もが少しずついい加減なことをして
積み重なった失敗の責任を誰がとるのかさえも決まっていない

わたしはひどく落胆したし、傷つきもした
ちいさな頃に自分が見上げ素晴らしいと思った景色の一部に
調和のとれた驚異に満ちた巨大なパズルのピースのひとつに
必ずなるのだ、なれるのだと信じていたのに

けれど最近は落ち込んだ気分もだいぶマシになってきた
とてもいいことを思いついたのだ
つまり、いまある絵柄が気に入らないなら、
そんなパズルは床にぶちまけてめちゃくちゃにしてしまって
空になったフレームの中に新しいパズルを組んでいけばいいじゃないか、と

わたしというピースがはまるのに相応しいパズルを
ぴったりとはまりこんで落ち着いて安らげる、わたしのためのパズルを

そんなことを考えていると、だんだん愉快で愉快でたまらなくなってくるのだ
posted by 樋川春樹 at 22:01| Comment(2) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『いっさい』

汝等此処に入るもの、
いっさいの希望を棄てよ。

その有名な文句は、
地獄の門に記されているという。

希望を棄てよ、
この先は絶望の都。
救いもなければ、
出口もない。

深い憂いに満ちたそのフレーズを、
それなのに心地よく感じてリピートする自分がいる。

この先は地獄、
であればもう二度と、
不確かで身勝手な希望などというものに、
情けなくもすがらなくとも良くなるのだ。

希望があるから人間は未来に期待を賭け、
より良い明日を信じて、
叶わぬ夢を見続けることになる。

底の底にまで落ちてしまえば、
もう地面に叩きつけられる心配はしなくて良くなると言うのに。

永劫に続く苦しみでも、
束の間しか持続しない幸福に比べれば、
まだしも誠実だろう。

其処は地獄の門、
地獄への入り口、
すなわちこの世界からの出口だ。
posted by 樋川春樹 at 15:40| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【指令】第20週:華涼→樋川

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ごきげんよう、樋川嬢

さて、今回の任務の内容を伝える。
以下の三つのタイトルについて文章作品を完成させて欲しい。

『開花』
『とやかく』
『サプリメント』

・期限は2013年3月27日23時59分までとする。
・任務完了後、「@utanarahi」まで必ず報告をすること。

なお、次回の指令は2013年3月25日0時より、期限までに発表する。

では、任務の成功を心より祈る。


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posted by 華涼紗乃 at 12:37| Comment(0) | 指令書。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"レシート"

どうしてこんなことになったのだろう
その日は普通に始まったのに
眠い目をこすりつつ
最寄り駅までの道を歩いていたら
いきなり黒い袋をかぶせられて
身体を持ち上げられて車に乗せられ
手と足を縛り付けられた

お決まりのセリフ
「おとなしくしろ、従わないと命はない」

それから廃工場のようなところで
マットの上に転がされている
食事とトイレ以外はこの格好
手を伸ばせば届くくらいの高さに小窓があって
そこから射しこむ光で昼と夜の違いがわかる

数時間は呆然としたままだったけど
とりあえず助けを呼ばないと、と思う
鞄以外の持ち物は奪われなかった
胸ポケットの財布を苦労して外に出す
膨らんでいるのはお札じゃなくて大量のレシートのせいだ

これに何か書いて飛ばせば
助けを呼べるんじゃないか?
小石で指の先を傷つけてインクの変わりは血で

一枚にたくさんは書けない
考えないと、考えないと
助かるために

このレシートに命を託す
二つ折りにして
手を伸ばして小窓から次々と飛ばした


posted by 華涼紗乃 at 12:27| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"破損"

紙のお札を貸して
…素直に金貸してって言えば?
違う!紙幣そのものが必要なの!金としてじゃなくて
どういうこと?
マジックの練習してるんだ

満面の笑みで言うから
千円札をつい出してしまった
ありがとうといって友人は受け取り
ビリッ!
ソッコウ真っ二つに破った

…え?準備的なことをした感じはまるでなかったけど??
受け取って破っただけに見えたけど、まさかな?

真っ二つの紙幣を持った友人の顔が
どんどん青ざめていく
…手順、間違えたな

マジックなんだろ?戻せるんだろうな?
え、あの、その…
『貸した』んだから『返せ』よな
えっと、ごめ…
ちゃんと!元通りにして返せよな!

でも、破っちゃったものは…もう元には…
銀行!
…え?
紙幣の破損は銀行行ったらお金と変えてくれる
…そうなの?
さっさと行って来い

うん、じゃあ…
一瞬輝いた友人の顔を見逃さない
ちょっと待て
え?人質としてお前の千円を置いていけ
…えー
それで俺の金持ち逃げしたら詐欺だぞ!!

あはは、引っかからなかったか〜。
友人はそういうと真っ二つの紙幣を重ねて
両手の中に一瞬隠す
ぱっと開いたら元通りの千円札

心底びっくりした
おー、成功、大成功、はい、どうぞ。
な、おまえどうやって
マジックだよ、普通にやってもつまんないしー

情けないことにスキップして去っていく友人と
千円札を交互に見るしかできなかった
posted by 華涼紗乃 at 12:25| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"本棚"

本棚は秘密を隠すもの
本をカムフラージュにして

市販の本棚は本一冊分を置くには
奥行きが広すぎるものが多い
それだけの収納力があるということだけど
人はそこに秘密を隠す

手前に隙間なく並べられた本を
抜き取って奥を見るなんて
心理的にあまりやらない
探してるものがあるなら別だけど

あなたは本の虫だから
背の高い本棚が部屋にある
ずらっと並べられた本は壮観

スマートフォンで写真を撮る
並び順をあとで確認するため

そして椅子を持ってきて
上の段から順番に本を抜き取っていく
本当は投げ捨てたいとこだけど
ばれだからダメだから

やっぱり出てきた
本の壁の奥から
元カノとの写真や思い出の品、過去の携帯電話
捨てるって約束したのに
世には出せない類の大量のDVDや本
捨てるって約束したのにね!

一番下の段の奥から出てきたのは
私の友達とのプリクラ
楽しげに、親しそうに、写ってる

…悟った
捨てなきゃいけないのは私のほうだった
捨てられなくてぐずぐずしてたのは私のほうだった

置きっぱなしの私物をまとめて
まるで魔窟の本棚を元通りに

これからは背の高い本棚を持ってる男とは
付き合わないようにしよう
どんな秘密を隠し持ってるかわからないから


posted by 華涼紗乃 at 12:25| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『隣人』

挨拶だかなんだかわからない
不明瞭なやりとりの他には
口をきいたことがなかったし
まともに顔を見たこともなかった

そういうものでしょう
人はただ「隣に住んでいるから」なんて理由だけで
必要以上に距離を詰めないもの
お互い興味もないならなおさら

でもそれが間違いだったのかもしれない
廊下で会ったあのときに
こちらがきちんと言葉をかけていれば
日々の言葉のやりとりの中で
救われるものもあったのかもしれない

なんて、今さらですけどね
もうどうしようもないのに
死んでしまったヒトも
巻き添えで殺されたヒトも
取り返しはつかないのに

ただ、それは
私だけのせいではないですよねえ?
posted by 樋川春樹 at 11:13| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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