2011年10月31日

『最後のご挨拶』

 最後の最後に遅刻してしまいました、樋川春樹です。
 【詩ならひ】にお付き合い下さった読者様方、関係者各位、長い長い間本当にありがとうございました。

 振り返ればあっと言う間の出来事であったような感じもしてしまいますが、なんせ6年間。それだけの長い時間をかけ、出来不出来の差は激しいけれどもとにかく1000編もの作品を公開出来たのは、ひとえに同じだけの期間【詩ならひ】を続けてくれた華涼さんのおかげです。
 日常生活で公私共に様々なことが起こる中、それでも投げ出さずに毎週更新を続けられたのは、並走し続けてくれる人の存在があってこそでした。
 一週ごとに大変なプレッシャーを感じつつも、同時に大いに力づけられ刺激を受けました。
 自分一人では絶対に辿り着けなかったゴールを共に迎えられたことを光栄に思います。
 心からの感謝を捧げたいと思います。

 本来小説書きである私にとって、詩のブログということで始まった【詩ならひ】は試行錯誤の連続でした。
 詩というものが何なのか最後までついに自分で掴めないまま、ふらふらとどっちつかずの文章を書き続けていた気がします。
 連作形式で書いていたいくつかのシリーズについてはちゃんと小説にまとめたい気持ちがあって設定をノートにまとめたりもしております。
 いつか誰かにお届け出来ればとも思いますが、しめきりのない創作というものは本当に難しいものですので今のところはあくまで願望ですね。

 生粋の詩人であり他の追随を許さない書き手である華涼さん、確固とした自分の世界を持っている月姫さん、女性の心の機微を見事に描かれる葉瀬さんに囲まれて【詩ならひ】の更新を続けるのは、わくわくするほどに楽しい体験である一方で、否定しようもなくしんどい状況でもありました。
 どんなときでも自分は自分の文章を書くだけだし結局はそれしか出来ないのだとわかってはいても、調子のふるわない週には自分の作品をここに書き込むのが申し訳ないほどで。
 そのような葛藤の日々も終わってみれば良い思い出です。
 願わくば、その日々を超えた自分自身が少しでも成長出来ていれば良いのですが。

 【詩ならひ】の詩作はこれで終了となりますが、第6弾以降放置してしまっているまとめと『【詩ならひ】について。』の更新だけはけじめとしていずれ済ませようと思います。
 今後については未だ何の予定も立っていない状態ですが、また何か新しいことを始められたら素敵だなとも思っております。

 ということで、いつまでも名残りを惜しんでいたくはありますがこれにて【詩ならひ】はひとまず閉幕とさせていただきます。

 今まで、ほんとうにありがとうございました!
posted by 樋川春樹 at 01:17| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月30日

最後のご挨拶

みなさま、改めましてこんにちは。
葉瀬尋(はせひろ)でございます。

私が初めて「詩ならひ」に詩を書いた時のお題は『アンコール』だったと思います。
初めてなのに『アンコール』というのもなんだかおかしな感じですが(笑)

実はそれまで、詩作らしきことをしたこともなければ、人様に自分の書いた詩を読んでいただくということもしたことがなかった私。
頭を抱えながらも精一杯ことばをひねり出したのを、今でも憶えています。

そしてそんな私が、お題に沿って100もの詩を書く「詩ならひ」に参加するのは、自分にとってはかなりの挑戦でした。

けれど、私は一人きりではなく、樋川さん、華涼さん、月姫さんという仲間がいました。
同じお題から、各自がそれぞれの様々な世界を作り上げていく。
その中で、詩を書く楽しさや苦しみを知ったり、自分の内にある新たな一面を見つけたり。

仲間の詩を読んで、自分にはない感性を確認することが楽しかったし、私も負けないように、置いていかれないようにと、必死でお題に取り組んでいました。

「詩ならひ」の歴史のうち、私が参加させていただいたのは、初めのほうとおしまいだけ。
ほんの少しだけでしたが…。
一緒に取り組む仲間がいたからこそ、やり遂げることができたのだと思います。

仲間の一員として活動させてもらった経験は、自分の中で大きな糧となりました。

樋川さん、華涼さん、月姫さん。
そして「詩ならひ」に訪れてくださったみなさま。

つたない私の詩におつきあいいただき、ありがとうございました。

私にとって詩というものは、その時その時の等身大の「自分」を表すものです。
詩を書くことで、自分自身を形にしていき、新たな自分を見つけることができます。

自分をさらけ出すことは、気恥ずかしくもあり怖くもありますが、もしまた新たな詩を書くことがあるとすれば、その時には、ほんの少しでも成長した「葉瀬尋」を感じてもらえるものが書ければいいなと思います。

いままで本当に、ありがとうございました。




posted by 葉瀬尋 at 23:53| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"最後のご挨拶"

誰もいない舞台の中央に立つ
閉まった緞帳に手を触れ、目を閉じた

開演からここまで続くとは思っていなかった
またきちんと幕引きが出来るとも思っていなかった

でもフィナーレを向かえ
心は大いなる満足感と少しのせつなさで一杯だ

間違いなく自分に刻まれたこの舞台を糧にこれからも生きていく

願わくばまた新たなる幕が開く日を願って


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詩ならひ第10弾、無事終了しました。
参加者のみなさんお疲れ様でした。

そして読んでいただいた方、またお題に挑戦してくれている方、本当にありがとうございます。
おかげで昔は検索しても検索件数が少なかったりしましたが、「詩ならひ」と検索すると今はなんと、小見出しまでつくようになりました。
それだけ、多くの人にアクセスいただいたと言うことだと思います。
本当にありがたいことだと思います。

2005年に始まった詩ならひ。
そもそものきっかけは、私、華涼からでした。
詩を書きたい、でも「やる気が揮発性」(笑)と言われる私は続けることが出来ず、途中で断念してしまいます。
なので、みんなでルールを決めて、ある種、追い込まれた状況で一緒にやろうと始めました。
それが2011年まで続き、計1000編の作品が出来たなんて驚きです。

企画、運営、管理、宣伝までしてくれた樋川さんには多大なる感謝を。
私の思い付きをきちんと形にしてくれたうえ、まとめ・管理などで、とてもお世話になりました。
計1000題をくじけることなく、達成できたのはひとえに樋川さんのおかげです。
作品にも刺激され、影響を受けました。
本当に、本当にありがとう。

一緒に参加してくれた月姫さんと葉瀬さん。
お二人の作品を読むのはとても楽しく、刺激をたくさん貰いました。
本当にありがとう。

一週間を期限に作品を書くと言うのは、日々変わっていく生活の中で、大変でした。
何回も頭を抱えて、ときにはのた打ち回ることもしばしば。
作品も満足に書けたというものはむしろ少ないほうですが、読み返すと過去の自分の言葉にどきりとすることもありました。
また、他の参加者のあまりの上手さに嫉妬することもたびたび。(笑)

また、詩は学生時代から書いており、個人的なこだわりとして、各区切りのお題の最後の作品は、それまでのお題の言葉をすべて入れた作品を作ってきました。
それが最後まで達成できたのは、ちょっとした自慢です。

思い返せば本当に楽しく、詩ならひはかけがえのない存在です。

詩ならひはこれで終了ですが、またこのメンバーで一緒に出来ることがあればと思います。
もしかしたら、ここに帰ってくることもあるかもしれません。(笑)

ともあれ、またみなさんと再び出会えることを願って。

本当にありがとうございました。



posted by 華涼紗乃 at 11:22| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月26日

〜最後のご挨拶〜

長い間おつきあいくださり
本当にありがとうございました!!!

ここを訪れてくださる方がいて
すごく励みになったりして、本当に嬉しかったです


私は途中、リアルが非常に忙しく
詩ならひ一時中断していましたが
その間も、ここを守ってきてくれた
すずかさんと、春樹さんに本当に感謝です
また二人においては、管理や消化状況などのまとめなど
本当にお疲れ様でした
ありがとうございました

それから、この最後の100題
久々に参加したのに、途中脱落してしまい
本当に悔やんでも悔やみきれません
自分が悪いので、どうしようもないのですが…
その際にみんなに迷惑をかけたこと
本当にお詫びします
それでも、こんな私の最後までの投稿を許してくれて感謝です

そして、無事に100まで辿りつけて本当によかった


思い返せば、本当にすごいよね
もうどんなお題を消化してきたのか、
わからなくなるくらいのお題を書いてきたように思います
そして、一番おもしろいのは、
他の三人が私とはまったく違う人間なんだなぁと
三人もそれぞれ違っていて
同じお題なのに、内容が本当に違っていて
そのことに毎度毎度改めて気付かされた、そんな場所でした
だからみんなの投稿を読むのもすごく楽しかったです


この詩ならひに参加出来て、本当によかった
お題を一週間で消化する苦しみも今では最高の思い出
それぞれが出すお題は
私のジャンルではないものも多く
決して楽ではなかったけど
新たな挑戦であり、違う自分を発見出来た場所でもありました

もう終わってしまうのは
なんだか、寂しい気もしますが
また違った形でみんなと新しい挑戦とか出来ると楽しいかも…
なんてことを思ったりしています(笑)

楽しさ、嬉しさ、せつさな、苦しさ

4人の色々な感情があふれたこの詩ならひは
私にとっては最高の傑作であり、大切な宝物です


本当に本当にありがとう!!!!

posted by 月姫瑠璃愛 at 03:07| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月25日

詩ならひ終了にあたり

お疲れ様です。

さて、第10弾終了をもって、2005年より続いてきた詩ならひが無事終了しました。
お付き合いいただいた皆様、ありがとうございました。

そこで、調整の結果、参加者より最後のご挨拶をさせていただくこととなりました。

参加者のみなさんは、10月31日0時までに
【詩ならひ】のそれぞれのカテゴリーに投稿をよろしくお願いします!



posted by 華涼紗乃 at 22:14| Comment(0) | 連絡帳。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月13日

【第34週】終了→【詩ならひ】終了です!

 お疲れ様です。

 現時点における第34週目各人のお題消化状況に関するまとめです。

華涼紗乃:1/1:100/100
 樋川春樹:1/1:100/100
 葉瀬尋:1/1:99/99
 月姫瑠璃愛:(第16週で脱落)

 (名前:今週の消化数/今週のお題数:トータル消化数/トータルお題数)

 以上です。

 これをもちましで第10弾【詩ならひ】終了となりました。
樋川さん、葉瀬さん、月姫さんお疲れ様でした。

 また、第10弾開始時にも申しましたが、【詩ならひ】は今回の第10弾を目処に終了とさせていただきます。
 
今まで本当にありがとうございました。 
 
 最後に参加者からの挨拶など、企画しておりますが、現在調整中ですので、取り急ぎ、まとめとお礼のみで失礼いたします。
posted by 華涼紗乃 at 15:43| Comment(0) | 連絡帳。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月09日

∞詩ならひ∞

そこは無限の世界
100の試練
それぞれの扉
そして友との絆

おなじ題目
だけどまったく違うもの
感動
驚愕
感心
切なさ
楽しさ

たくさんの感情を
いっぱい教えてくれる場所
自分とは違うと感慨深くなる


無限の世界
言葉の羅列
すべて光輝き
たくさんの扉を開いて行く

ありがとう
脱落してごめんね
楽しかった

本当にありがとう

詩ならひよ
永遠に!!
posted by 月姫瑠璃愛 at 20:36| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

おしまいのことば

いろんなことがあったね

幸せだったけど
ずっと悲しみと背中合わせで

このままでいいわけないと
知りながら目を瞑る

うしろめたさと気持ちよさは
ほとんど同じものだった

大好きで大好きで
たまらないけど

そろそろ
終わりの時がきたよう

あなたとわたしを繋いでる
糸をほどく時が

はばたこうとしているあなた
邪魔をするわけにいかない

羽を休める場所はひとつでいい
よそ見をせずにまっすぐ飛び立って

高く遠くはばたいて
そして二度と帰らないで

糸をほどいても
結ばれた絆は消えないと信じているから

あなたがいなくても
大丈夫なようにがんばるから

だからさようなら
大好きなひと

わたしの一世一代のつよがり
無駄にしないで

こんな大事なときに
甘やかさないで

ねえ最後に
もう一度抱きしめて

そしたら
ありがとうっていうから

それが合図
それでおしまい

ほんとうにおしまい

じゃあ、お願い
もう一度抱きしめて



いままでありがとう





posted by 葉瀬尋 at 18:47| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『終章』

 ひとつひとつはちっぽけなものだけれど
 集めて積み上げればそれなりの意味を宿す
 ひとつひとつはとるにたらないものなのに
 それらがつくりあげるのは
 かけがえのない大きなものだ

 どうでもいいものなんて世界にはなかった
 気づいていてもすぐに忘れてしまった
 一瞬一瞬が重要で
 すべては過ぎ去った後にはもう取り戻せないものだったのに

 きっとそれを強く認識することだけが
 足もとの地面に自分を繋ぎとめてくれる
 特別ではないけれど当たり前でもない日常
 その価値を見失ってはならないのに
 なのにそれはひどく難しい

 『枠』の外から世界を眺める
 フレームに囲まれた世界は
 額縁におさまった絵画のような
 あるいはテレビの映像のような
 つまり自分とは縁のない向こう側の存在

 自らの意思で踏み出したつもりだったのに



 ほんとうは弾き出された不要物だったのかもしれない
posted by 樋川春樹 at 13:30| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"エンカウント"

勇気を出して手を差し出すと
純粋な笑みでごく自然に君も手を出す
固く、固く握手を交わした瞬間
少し早い初雪が降り出した

君と出会ったのは平日のデパートの屋上
意味不明な文字が彫刻された年代物の石碑の前で
小さな紙袋を提げて白黒ボーダーのパーカーを羽織った君の姿は
何故か完成されたモノクロ映画のようで背景さえも灰色に染めた

一瞬で鼓動が高まったのを今でも思い出せる

キーワードは「狂気」
機械のように無機質なのに出鱈目な熱を持っていた
プラスマイナス関わらず人を巻き込む力を感じた
僕は怖かった
接続と言う変化はゆくゆくは決断を迫る
それは最悪だ

だって君と出会う前の僕は思考を中断していたから

きっかけは些細なこと、だからこそ
ひとつひとつは小さくて細い針
ひとつひとつは細かい破片
だけど無限に当たり続ければどうしても気力が消失していった

周りからの圧力に耐えるのにはもう限界が来ていた
あとすこし、もう少しと頑張ってきたけれど
いつからか孤独という入れ物の中で
迷子になってうつむくしかなくなった
裏表を使い分けられない僕はひたすら閉じこもり
やがて抵抗することをやめ、ただひたすら服従した

僕は世界に絶望したふりをして
一人勝手に終戦の宣言をして
世間の下敷きになることを選んだのだ

繰り返した妥協と都合の良い忘却で
現実ではなく幻覚を僕に見せ続けることで心を停滞させた
そのままなら浪費し続けるだけの時間の中で程よく劣化し
それなりに生きていけるとその頃は本気で思っていた

ただ、自分を見失うだけなのに

僕は、知らず大罪を犯した人のように
どん底の中で君に出会ったんだ

にこやかに近づいてきた君と挨拶を交わす
君に促されるまま連絡先を交換すると
君はすぐに僕を勝手に「シンユウ」に認定した
それはつまり「僕とともにある」ことに固執したのだ

早朝に呼び出され
教会音楽の録音に付き合わされたかと思えば
深夜に呼び出されて
かつて病院だった廃墟や墓地に連れていかれた
普通に遊園地や公園に行くこともあり
図書館で本棚の間を散歩するときもあるがそんなのはむしろ珍しい
一番おかしかったのは延々と白紙をはさみで切り続けただけの一日


そんな状態だから、当然、会えば、まずけんかだったが、
負けず嫌いの僕を君はうまく言いくるめ
パーティーにほおり込まれたような日常に
集中せざるを得なかった

だから少し経つと余計なことは考えなくなった
ぐったり疲れてベットに飛び込む日々が続き
睡眠が良くとれるようになった
四季の移り変わりも肌で感じ
手放せなかった薬が自然にいらなくなった

何より驚いたのは
埃をかぶっていた自分自身のものさしが
絶望起点ではなく希望起点になっていた

今から思うと世間知らずで高望みしすぎていたのだろう
善悪の境界線はわかりやすいものだと信じ
自分に共感し全肯定してくれる待ち人は必ず現れると思っていた
自分の世界なんて箱庭のようなものなのに
まるで地球を揺るがす成功前提プロジェクトの一端を担うくらいの気持ちでいた

今となっては終了したことだけど気恥ずかしい

「あの頃の君を思い出すと人違いかと思うほど変わったね」
君はくすくすと笑う

君と会ってからの記録は僕の財産で
しっかりファイルを分類して保存した
忘れ物はひとつもない、準備完了だ

「これからも一緒だね」
正面ではなく隣に並んで手を繋ぐ
新たな君とのリンク
その絆は何事にも変えがたい
posted by 華涼紗乃 at 10:39| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月05日

【第33週】終了→【第34週】はじまります。

お疲れ様です。
遅くなって申し訳ありません。

 現時点における第33週目各人のお題消化状況に関するまとめです。

 華涼紗乃:3/3:99/99
 樋川春樹:3/3:99/99
 葉瀬尋:3/3:98/99
 月姫瑠璃愛:(第16週で脱落)

 (名前:今週の消化数/今週のお題数:トータル消化数/トータルお題数)

 以上です。

 続いて第34週のお題を発表します。

・(自由題) 

 以上になります。

 いよいよ、詩ならひ最後のお題になります。
 有終の美を飾りましょう!!(*^-^)

 10月10日0時までに【詩ならひ】への投稿をよろしくお願いします!
posted by 華涼紗乃 at 11:43| Comment(0) | 連絡帳。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月02日

『忘れ物』

 風の強い日だった

 色のうすい空を雲がちぎれて飛んでいく

 帽子を押さえながら橋の上で振り向いた

 …もう決して戻らないつもりの方角を



 人生には色々なステージがある

 時の流れと共に環境は移り変わる

 二度とは会えないのだと気づかぬまま別れた人がいた

 二度とは戻れないのだと予想もしないまま進んだこともある



 持って来るべきものを置いてきた

 単純な忘れ物もあれば意図して置き去りにしたものも

 隣りにいる人々もどんどん入れ替わる

 選べるものも選べないものも一緒くたに



 ちぎれ雲は高い空の強い風に吹きさらわれて

 いつしかひとつ残らずどこだかへ消えてしまう

 大事に押さえた帽子も手を離せば飛んでゆく

 そして何も戻っては来ないのだ
posted by 樋川春樹 at 23:00| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

忘れ物

今日もすごく楽しかった

一緒にいる時間がいつまでも続けばいいのに、って思うけど

もうとっぷり日が暮れて
すっかり夜の時間

おうちの前まで車で送ってもらって

ギアを『P』に入れて
サイドブレーキを引き上げる彼

私の方を向いて「着いたよ」と
素っ気ない言葉

そのままバイバイしちゃうのがさみしいから
彼をジッと見つめる

「なに?」
バイバイするのをなんとも思ってなさそうな彼

「…なんでもないもん」
ちょっと悲しくなって車を降りようとすると

腕を掴まれて引き戻される

「忘れ物だよ」
そういって、優しくキスをして

驚く私の顔を見て
いたずらっぽくニヤリと笑う

「私も、忘れ物」

悔しいから今度は私の方から
彼の唇を奪う

「…俺も、まだ忘れ物」

彼が顔を寄せるからまた目を閉じて
こんなんじゃいつまでもバイバイできない、けど嬉しい

ゆっくりキスを交わしたあとに目を開けると

彼がリングの入った小箱を持っていて

「いつも一人で置いて帰るの嫌だから、持って帰っていい?」

忘れ物って私のことだったのね

返事の代わりにもう一度
彼のものになった唇を重ねた

posted by 葉瀬尋 at 22:47| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

録音

何度も何度も同じフレーズを
少しずつニュアンスを変えて
繰り返し歌う

上手くいかなくても
納得がいくまで諦めずに
辛抱強くテイクを重ねる

最高のものを目指して

妥協することなく
一音一音を奏でていく

たくさんのメッセージと
たくさんの愛を

一枚のディスクにこめて

魂を削って作り上げる
至上のハーモニー

どうか
聴いたすべての人びとの

心に届きますように

心に響きますように

posted by 葉瀬尋 at 22:43| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

浪費

これ以上一緒にいても
先があるわけじゃない

あの人と私をつなぐ絆が
細くなって千切れるのを
ただじりじりと待っているだけ

その瞬間を少しでも先延ばしするために

私は私を浪費する

お金も体も使えるものはすべて使って
あの人を繋ぎ止めるために
自分をすり減らしていく

てんで正気の沙汰じゃない
けれど邪な愛情なんて
そもそも狂気でしかない

わかっちゃいるけどやめられない

バカな私の気持ち
少しはわかってくれるなら

このまま側にいて

私がもういいと言うまで
posted by 葉瀬尋 at 22:42| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『録音』

 もう二度と聞けないはずだった声が、名前を呼んだ
 有り得ないとわかっていても
 何故本当に呼びかけられたかのように胸が高鳴ってしまうのだろう

 ……それは遠い昔の声
 ノイズ混じりの録音は
 耳にした瞬間偽物だと知れていたのに

 ああ、どうして残してしまうんだろう
 自然になくなるに任せられないんだろう
 いずれは跡形もなくなってしまうというのに
 束の間だけでも抗おうとするのだろう
 過ぎた時間を手放せないのだろう
posted by 樋川春樹 at 21:15| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『浪費』

 一日のはじまりに無償で与えられるもの
 明日には決して持ち越せないもの
 それが『時間』

 『枠』の中においては
 あるとき唐突に奪われるものでもある
 その終わりはおおむねいきなりやって来て
 抗える人間などいやしない

 終わりが来たなら静かに明け渡すだけだ

 期限つきと知っているから
 ひとはその短い生命を充実させようと努力する
 目標を設定し自分を向上させて
 とにかく何者かになろうとする
 一度しかない人生を浪費することに耐えられないから

 『枠』の外においてはどうだろう
 時間の概念はあってないようなものだ
 『枠』の中に入るときには自分で入りたい日付や時間を選べるし
 また外に戻って来れば昨日も明日も関係のない暮らしに戻る

 尽きる不安のないものなら空費しているという焦燥もない

 ただ、どちらが良いのか、優れているのかは正直なところわからない
 永遠の中でしか知り得ないものもあるだろうけれど
 いつか終わると知っているからこそ掴めるものもあるのだろうし
posted by 樋川春樹 at 20:46| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"忘れ物"

良いお天気
洗濯物も良く乾きそう
青空を白い雲がすいすいと流れていく

今日もここは平和で
今日もここは安らかで
…そんな何でもない一日が幸せだ

生活は不自由なく
ふさふさの毛の大きな犬と
真っ黒でとび色の瞳の猫と
ときどき遊びに来る小鳥たちがいて
町に下りれば友だちもいて

だけど早く帰ってきて欲しい
優しく笑うあの人に
もう10年も前にここを去ったあの人に

ふと耳慣れない音がした
ガシャガシャと金属がぶつかるような
とっさに身構えて音のするほうを見ると
そこには小脇に兜を抱えて鎧をまとったあの人が

よっ!なんて忘れ物を取りに来たような気軽さで
ばつの悪そうな笑みを浮かべて立っていた

便りすらよこさずに10年も
言ってやろうと思っていた憎まれ口も出てこずに
ただ、ただぎゅっと抱きついた
posted by 華涼紗乃 at 16:03| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"録音"

ヘッドホンをはずし、ふうと一息つく
ディスプレイには
聞きながら打ち込んだ低俗な会話が表示されている

一度目は頭の中が真っ白になって途中で聞くのをやめた
二度目は吐き気と戦いながら最後まで聞いた

それから一週間ほど空いた
気持ちの整理を無理やりつけ
段取りを整え前に進むことを選んだ

そして今は三度目
さすがに慣れた
…いや感覚はすでに麻痺したんだろう
聞き逃したところを巻き戻して聞くことさえ平気になった

悲しんだり苦しんだり
そんなことはもう全部終わってからで良い
今は感情は出来るだけセーブして
目的に向かって進むべき

さっき寝付いた子どもの顔を見た
すやすやと安心しきって眠っている
掛け布団の上に出ていた小さな手を中に入れようと
ほのかに暖かい手に触れる

とたんにあふれ出す感情は
数滴流れた涙くらいでせき止められた

絶対に守るべきものがここにある以上
ただ、強くなるしかない
強くなれると信じるしかない

またヘッドホンをつける
キーボードの音が響く

これが幸せな未来へ続くとそれだけ信じて
posted by 華涼紗乃 at 16:00| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"浪費"


ちょっとしたきっかけでも
ある方向に進路が決まり
動き出してしまえば
あとは坂道を転がるように事態は進んでいく

最初は小さな鞄だった
値段は高いものだったけど
使い勝手が良さそうで
長持ちしそうだったからひとつ買った
プラスチックのカードで

とても良くてそればかり持っていたら
服に合わない、いつも一緒の鞄
少しかっこ悪いことに

だから、もうひとつ買った
それに合う服を
その服に合うアクセサリーを
その服に合う靴を

そんな一揃いを
もうひとつ、ふたつ、みっつ
カードを渡しては返してもらいを繰り返して

やがて物を得るのではなく
買うこと自体が目的になっていった
等価のやり取りを意識しないとこうなるのだ

まるで魔法を使っているかのような全能感で堕ちていく
自分の身を削って、自分の体を削って

posted by 華涼紗乃 at 15:59| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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