2011年08月21日

保存

あなたの話すことば
そのすべてを忘れたくない

あなたが私にもたらすもの
そのすべてをなくしたくない

全部全部
覚えていられたら
残しておけたら

たとえ一人のときでも
さみしさに震えずにいられる
誰かにすがらずにいられる

蛇口をひねったら
あなたのぬくもりと同じ温度のお湯が出ればいいのに

お布団に入ったら
あなたに抱かれてるような重さと安らぎがすればいいのに

心が折れそうなとき
あなたのぬくもりのお風呂に入って
あなたの重さと安らぎのお布団に横たわる

そして目を閉じれば

私の中に保存してある
あなたの記憶をたどって

私は一人じゃないと勘違いして
幸せな眠りにつけるのに

あなたの声もにおいも
熱さも痛さも、心地よさも

そのすべてを、なにひとつ

なくしたくなんてなかったのに

posted by 葉瀬尋 at 18:42| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

埃をかぶっていた自分を
あの人が輝かせてくれた

あなたが丁寧に
私の埃を払う

ひとなで
ひとなで

萎れた植物が水を得て
瑞々しさを取り戻すように

私の蕾もほころんで
いつしか花を咲かせる

あたりに甘い香りが漂い
いろんな虫を引き寄せる

あなた、あなた

近寄る悪い虫たちの
餌食にされてしまう前に

追い払ってくださいな
いつか埃を払ってくれたように

私はあなたのものだと
わからせてくださいな

そうすれば私
あなたのことだけ見ていられる

あなたが私を花ひらかせた

その甘い蜜を
あなただけのものにして

ほかの誰にも
味わわせないで

posted by 葉瀬尋 at 18:40| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

忘却

私の肩に咲く
大輪の赤い薔薇

あなたは知らぬと言うけれど
私はしかと覚えている

あの夜あなたは私を抱いて
私にしるしをつけたのだ

私が自分のものであると
思い知らせるために

あなたはいつでも都合よく
忘れた振りをするけれど

この身に刻まれたあなたの痕を
どうして忘れることができるだろう

これは大事な宝物
たとえ知らぬと言われても
たとえ花が消えようとも

私の心に咲き続ける
大輪の赤い薔薇

posted by 葉瀬尋 at 18:38| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"保存"

絶賛片思い中
キラキラした妄想を日々楽しんでいます
しかしこのことは誰にも内緒
いいトシして頭がおかしいと思われてしまいますから

お相手は職場の方です
仕事以外での接点はないですが
そのちょっとした仕草や行動が素敵です

ひとつひとつを心の中でしっかり保存中
自宅に帰って再生するのが今から楽しみです
最近はこういう状態が一番良いと思えてきました

人はどうしたって自分の思い通りにはならず
人には絶対悪いところはあるものなのです
付き合っていくには妥協はもちろん必要だし
嫌な思いも何万回としなければいけません

もう、正直、面倒くさい

だったらほわわんとした妄想に包まれて
幸せな気分が一番だなぁ

ま、そんなんじゃ駄目なんでしょうけどね
でも、先のことはあんまり考えないようにして

保存しまくったあの人の仕草を
妄想で繋ぎ合わせつつ
優雅に紅茶を飲みながら
美味しいケーキをつついて
アロマの香る空間で
まったり休日を過ごすのもオツなものです
posted by 華涼紗乃 at 11:50| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"埃"

「家」というのは生き物だと思う
風を通し、埃を払い、汚れを落とす
ちゃんとしていないとあっという間に
惨憺たる有様になる

特に何もしていなくて
普通に暮らしているだけでも
ましてや、人が出入りすることもない
何も動かない空間でさえも
放置するとあっという間に病んでいく

ごろりと横になってお昼寝
お菓子を取り出してはパクパク
清潔な部屋でのんびり過ごせるのは
いったい誰のおかげなんだろうね?

という無言のオーラを発しながら
掃除機を片手にゆっくりと近づく

そろそろ、そこどいてくれないかな?
posted by 華涼紗乃 at 11:49| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"忘却"

自分はとっても損をしていると思う
好きになった人には必ず好きな人がいて
幸せになってほしいから一生懸命応援する
その結果、良くなったり悪くなったりだけど
自分のほうには向いてもらえたことはない

今日もそんな感じ
今回はかなり難しそうだったけど
私の想い人はちゃんと想いを告げて
本当に驚いたんだけど受け入れてもらえた

私はとっても感謝されたけど何だか複雑
私はあの子とずっと仲良くするだろうけど
それは私が望んだ関係ではなくて

仕方ないから儀式を執り行う
空に一番近いこの場所で
それでも人に見つからない影のところで
小さくなって
長い、長いため息をひとつ

心に張っていた余分な力を抜くと
涙も一緒に搾り出される
それはやがて号泣へつながる

忘却のための儀式
次こそは幸せになれるといいなぁ…
posted by 華涼紗乃 at 11:48| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『保存』

 人間は何でも忘れてしまうし
 覚えていたとしてもすぐに死んでしまう
 大事なことほど伝えるのを忘れがちだし
 語られなければそれはなかったことになってしまう

 だからこうして保存しておくんだ
 『枠』の外側に
 もはや意味のなくなった記録でも
 積み上げておけば意味の一つも生まれるだろう

 つらいことは忘れたがるし
 悲しいことからは目を背けたい
 楽しいことだけ考えていたい
 面白いことだけあればそれでいい

 そういうわけにはいかないんだよ
 とっておかなくちゃいけないんだよ
 忘れるわけにはいかないんだよ
 だから大事に保存しておかなきゃならないんだ
posted by 樋川春樹 at 01:22| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『埃』

 おとな達は誰も気づかない、でもぼく達は知ってしまった。
 長い長い間誰も住みつかなかった、丘の上のお屋敷に、最近越して来たあの人のこと。
 とても優しそうな人だった。
 とても穏やかな瞳をしていた。
 落ち着いた声で、礼儀正しく、町の人達に挨拶をして回った。
 おとな達は好感の持てる素敵な若者だと口々にあの人を褒めたけれど。
 ぼく達はおとな達が知らないことを知っている。

 図書室の奥、埃まみれの一画に、もう誰もに忘れ去られたような、古い古いアルバムがあって。
 その中の一枚、セピア色もすっかり褪せて消えてしまいそうになっている一枚の写真に。
 丘の上のお屋敷のあの人が、今いるのと変わらぬ姿で映っていることを。

 他人の空似なんかじゃない、有り得ない。
 写真に添えられた名前さえも同じまま、数百年も前の姿があのまま、ぼく達の住む町を何食わぬ顔で歩いている。
posted by 樋川春樹 at 01:12| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『忘却』

 懐かしい、という感情が正しいのかどうかはわからない。
 いま目にしている風景は最後に訪れたときとは変わり過ぎているし───むしろ共通している部分などほんのひとかけらさえもないぐらいだ───前回この土地にいたのは、ここに『広大な森が出来る前』だったから。
 一般的に用いられる懐かしい、という尺度など、とっくのとうに振り切ってしまっているのかもしれない。

 そのぐらいの時間を置かなければ、ここへは戻って来られなかった。
 自分のことを知る人間達が皆死に絶え、その人間達に関係のある者達が全ていなくなり、書物や写真のかたちで残された記憶さえも薄れて消えつつあるぐらいの長い時間を置かなければ───『時間』というものが否応無しにもたらしてくれる忘却の恩恵を受けなければ、かつて長い時間を過ごし大勢の人間達と共に暮らしたこの場所に、戻って来ることは出来なかった。

 『枠』から外れたこの身は、老いることもなければ朽ちることもない。
 数年、十数年、数十年経とうとも皺の一本も増えないこの身では、ひとつのところに長く暮らし続けることは出来ない。
 その場所をどれだけ愛していたとしても、その場所に住む人々をどれだけ愛していたとしても。
posted by 樋川春樹 at 01:01| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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