2011年08月21日

『保存』

 人間は何でも忘れてしまうし
 覚えていたとしてもすぐに死んでしまう
 大事なことほど伝えるのを忘れがちだし
 語られなければそれはなかったことになってしまう

 だからこうして保存しておくんだ
 『枠』の外側に
 もはや意味のなくなった記録でも
 積み上げておけば意味の一つも生まれるだろう

 つらいことは忘れたがるし
 悲しいことからは目を背けたい
 楽しいことだけ考えていたい
 面白いことだけあればそれでいい

 そういうわけにはいかないんだよ
 とっておかなくちゃいけないんだよ
 忘れるわけにはいかないんだよ
 だから大事に保存しておかなきゃならないんだ
posted by 樋川春樹 at 01:22| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『埃』

 おとな達は誰も気づかない、でもぼく達は知ってしまった。
 長い長い間誰も住みつかなかった、丘の上のお屋敷に、最近越して来たあの人のこと。
 とても優しそうな人だった。
 とても穏やかな瞳をしていた。
 落ち着いた声で、礼儀正しく、町の人達に挨拶をして回った。
 おとな達は好感の持てる素敵な若者だと口々にあの人を褒めたけれど。
 ぼく達はおとな達が知らないことを知っている。

 図書室の奥、埃まみれの一画に、もう誰もに忘れ去られたような、古い古いアルバムがあって。
 その中の一枚、セピア色もすっかり褪せて消えてしまいそうになっている一枚の写真に。
 丘の上のお屋敷のあの人が、今いるのと変わらぬ姿で映っていることを。

 他人の空似なんかじゃない、有り得ない。
 写真に添えられた名前さえも同じまま、数百年も前の姿があのまま、ぼく達の住む町を何食わぬ顔で歩いている。
posted by 樋川春樹 at 01:12| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『忘却』

 懐かしい、という感情が正しいのかどうかはわからない。
 いま目にしている風景は最後に訪れたときとは変わり過ぎているし───むしろ共通している部分などほんのひとかけらさえもないぐらいだ───前回この土地にいたのは、ここに『広大な森が出来る前』だったから。
 一般的に用いられる懐かしい、という尺度など、とっくのとうに振り切ってしまっているのかもしれない。

 そのぐらいの時間を置かなければ、ここへは戻って来られなかった。
 自分のことを知る人間達が皆死に絶え、その人間達に関係のある者達が全ていなくなり、書物や写真のかたちで残された記憶さえも薄れて消えつつあるぐらいの長い時間を置かなければ───『時間』というものが否応無しにもたらしてくれる忘却の恩恵を受けなければ、かつて長い時間を過ごし大勢の人間達と共に暮らしたこの場所に、戻って来ることは出来なかった。

 『枠』から外れたこの身は、老いることもなければ朽ちることもない。
 数年、十数年、数十年経とうとも皺の一本も増えないこの身では、ひとつのところに長く暮らし続けることは出来ない。
 その場所をどれだけ愛していたとしても、その場所に住む人々をどれだけ愛していたとしても。
posted by 樋川春樹 at 01:01| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月18日

◇保存◇

大事なものはすべて
大切に大切にとっておくの

褪せないように
壊れないように
破れないように

だからね

ずっと凍らせるの

なにも損なわぬように
誰の目にも触れさせないで
私だけのものにするの

ずっとずっと
美しい彫刻のように

氷の中に保存するの

あなたは
私だけのもの
posted by 月姫瑠璃愛 at 17:49| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

…埃…

どこから来るのだろう

あちこちに舞い降りて
積もっていく




人形

何もしなければ
真っ白になっていく

決して雪のように美しくはなく
どちらかというと
嫌われるものかもしれない

それでも
それでも
あなたの肩に触れられたら
誰にも気付かれないように
あなたさえも気付かないうちに
そっとそっと
舞い降りる埃になれたら
少しは幸せな気分になれるかな…

posted by 月姫瑠璃愛 at 17:27| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

―忘却―

ねぇ
あなたは忘れたいことってある?
これだけは忘れてしまいたいこと

私は…
私は……

あなたを忘れてしまいたい

あなたとの記憶
あなたとの思い出
あなた自身

そうすれば私は苦しみから逃れられる
もう悩み惑うこともない
哀しみに暮れることも
せつなさに胸が張り裂けそうになることも
すべてすべてなくなる

知らないうちに
自覚もしないままに
どこか彼方に置き忘れられたら…

どんなに楽だろう
posted by 月姫瑠璃愛 at 17:18| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月16日

【第26週】終了→【第27週】はじまります。

お疲れ様です。

 現時点における第26週目各人のお題消化状況に関するまとめです。

 華涼紗乃:3/3:78/78
 樋川春樹:3/3:78/78
 葉瀬尋:3/3:78/78
 月姫瑠璃愛:(第16週で脱落)

 (名前:今週の消化数/今週のお題数:トータル消化数/トータルお題数)

 以上です。

 続いて第27週のお題を発表します。

・忘却
・埃
・保存
 以上になります。

 8月22日0時までに【詩ならひ】への投稿をよろしくお願いします!
posted by 華涼紗乃 at 10:26| Comment(0) | 連絡帳。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月14日

*変化*

何かひとつでも新しくすると

何もかもすべてを

変えたくなる

そうすれば

心も

気持ちも

変わるような気がして
posted by 月姫瑠璃愛 at 23:59| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『変化』

 最初は誰も気づかない

 きざしをとらえられる者はごくわずか

 それでも少しでも目を離したが最後
 見失ってしまう
 境界線を

 そしていつの間にか置き去りにされる

 規模の程度に関わらず
 取り返しのつかないものを「変化」という

 ひとは深く考えもせずにそれを願い
 ときには渇望しさえする
 何が起きて何がその可能性をなくすのかも考えずに
 何を得て何を失うのかも考慮せずに
posted by 樋川春樹 at 22:39| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『ベッド』

 白い白いシーツの海の中にうずもれて
 やわらかな寝具の海に呑まれそうになりつつも
 彼女は眠り続けている

 もうどのくらい経っただろうか

 すうすうと安らかな寝息
 うっすらと桜色の頬には
 心地良い微笑みが浮かび
 気持ち良さそうに時折寝返りを打つ

 彼女は一体いつから眠っているのだろうか

 食事を一切とっていないというのに
 痩せ衰えて衰弱することもなければ
 すべすべとした瑞々しい肌を
 床ずれが蝕むこともない

 彼女は眠り続ける
 天使のようにすこやかに

 彼女の瞳の色を知る者はいない
 彼女がどんな声で話すのかを聞いた者はいない

 広い広いベッドの上
 たったひとりで眠り続ける
 彼女は一体いつから眠っているのだろうか
 いつか目覚めることはあるのだろうか
posted by 樋川春樹 at 22:24| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『プロジェクト』

 すべてをなかったことにしてやりなおしたいという意思があって
 今あるものをまっさらな状態にただ戻してしまいたい意思があった
 見ているものは微妙に異なっていたし
 得たいものも実のところ違っていたけれど

 利用した側はそもそも「利用出来る」ことをどのようにして知ったのか
 利用されている側は「利用されている」ことに薄々気づき始めている
 それでも動き出した歯車を止めようとしないのは
 ほとんど押しつけがましく与えられたまがいものの絆を手放せないから

 それは世界を書き換えるためのプロジェクト

 『枠』をひとつ欲しがった人間がいた

posted by 樋川春樹 at 22:09| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

変化

知らなかった
自分がこんな人間だなんて

あの人を好きになって
自分がどんどん変わってゆく

こんなにも誰かを乞うる気持ち
初めて知った

ぶつけようのない
自分の気持ちを持て余して

時おり
激しい嫉妬に狂いそうになる

たった一人を求めていながら
寂しさに耐えきれず
他の誰かの温もりにすがる

それでも心はあの人を呼んで
あの人に必要とされることだけ望んでる

してていいわけない
こんなこと

なにもかもだめになる
このままじゃ

こんなはずじゃなかった
もっと理性のある人間のはずだった

壊れてゆくなにもかも

過去も現在も
ルールも倫理も

たやすく乗り越えてしまう

あの人を好きになって
自分がどんどん変わってゆく

いってはいけない深みへ
どんどんはまってゆく

posted by 葉瀬尋 at 18:47| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ベッド

とりあえず、座ったら?

勧められるまま腰かけるベッド

テレビを見ながら他愛ない話をして
緩やかに時間を浪費する

やかましく光る画面を
なんとなく眺めているけど

ホントは早くあなたの心の音を聴きたい

ねえ、腰かけるだけなら
ソファでもいいでしょう?

今のこの状態は
使い方を間違っていると思うけど?

そんなこと、私から言わせるの?

ねえ、そろそろ意地悪はやめて
この道具を正しく使いましょう?

テレビなんて消してしまって
posted by 葉瀬尋 at 18:45| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

プロジェクト

私の秘密を好きなように暴くあなたは
あなたの秘密を私が暴くことをよしとしない

私が泣いても叫んでも聞き入れてはくれないくせに
あなたは私があなたの秘密に触れようとするだけで
途方もなく不機嫌になる

だから私は諦めた
あなたに何を聞いても無駄だから
あなたにわからないように
ひっそりひっそりあなたの秘密に近づくことにする

人は一人では秘密を持てない
相手がいるから秘密になる

それを誰にも見られていないと思う?
誰にも知られていないと思う?

秘密の片鱗はそこかしこに散らばって
丁寧に拾い集めては繋ぎ合わす

徐々に露になるあなたの秘密の数々

秘密はひとつではないのね?
こんなにもたくさん秘密があるのね?

いつかそのすべてを暴いてみせる

あなたへの切り札にするために


posted by 葉瀬尋 at 18:42| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"変化"

最初はたわいないことだった

閉めたはずのカーテンが空いていた
しまったはずのハンカチが落ちていた
あれ?どうしたんだろう?

窓は開いていたから風で吹かれたのかも
ハンカチは勘違いでしまい忘れたのかも

でも何だか不安に思った
思い違いかもしれないけど…
油断はしないほうがいい
何かあっては遅いのだから

それから今よりも厳重に戸締りには気をつけた
留守時にはもちろん、自宅にいるときこそ厳重に

そうしてしばらくしたころ
近所にパトカーが数台止まっていた

何かあったのだろうか…?
posted by 華涼紗乃 at 13:05| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"ベッド"

うちのベットはかなり広くて大きい
一人にひとつ、セミダブル
それを二つぴったりくっつけている

ゴロゴロゴロゴロ
寝返り打ってもたいていのことじゃ落ちないし
しっかりしてるからいつも安心
広々なベットはとても気持ちよく眠れる

私も彼もこのベットが大好き
彼はこのベットで眠ることを心待ちに仕事から帰ってくるくらい

たまに彼が寝返り打ちすぎて
私の寝るところがなくなったりしちゃうけど
ぐいぐい押しのけて眠るのもまた幸せ

冬は羽根布団にしっかり包まって
夏は薄い布団をお互い蹴飛ばしあい
ゆっくり眠る

朝には、夜の遅く寝たほうが相方の寝姿について報告
寝言がすごかった、寝返り打ちすぎ、
寝顔が苦悶の表情だったなどなど…

そして一日が始まる

今日もまた二人そろって
無事にベットで眠れますように

posted by 華涼紗乃 at 13:04| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"プロジェクト"

昼下がりのファミレス
まだまだ陽が高くてそんな雰囲気なんてゼロなのに
俺の目の前には化け物が出現したらしい

とんでもない人間がいると言うことは
テレビやネットの情報なんかから知ってたけど
半分フィクションくらいに考えていた

でも、いたんだなと思う

目の前の女はつい最近仕事上で知り合ったばかり
独身、彼女なしだった俺は多少ウキウキして誘いに乗ったが
彼女は共通の知り合いの既婚男に一気にのめりこんだらしい
…というか常軌を逸している

出会いから、不倫への流れ、離婚のあとの
結婚生活についてまでのプロジェクトを淡々と語る
その知り合いと彼女とは仕事上でしか会っておらず
プライベートでは「まだ」一度も接触がないにも関わらずだ

俺をそのために利用したいらしい
利用できると思われてることも腹立たしいが
まあ、そこはもう化け物なのだから仕方ない

腹をくくって協力は出来ない旨きっぱりと断る
会社あてに侮辱をうけたと脅迫するそうだが
勝手にやればいいと思う

知り合いの男性には話を聞きながら、メールですべて報告
その後、話の途中から携帯のボイスレコーダーで会話を録音

こんなものは出会いがしらの事故
出会ってしまったものはしょうがないが
ここからはどう自分のみを守るか、だ

顔では平静を装い
頭はフル回転で計画を組み立てつつ
心ではうん、俺はもう少し独身でいいなと誓ったのだった

posted by 華涼紗乃 at 13:03| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月12日

―べッド―

ぴょん

ぴょーん

ここはなぜかな
からだがびょんびょんってなるよ

すごくたのしくて
もっともっとってなるんだ
ときどきやりすぎちゃって
バランスくずしちゃうけど
それもすごくおもしろいんだよー

こんなにたのしいことを
おしえてあげようと思って
パパとママの手をひっぱってつれてくるけど
ふたりともみてるだけ

もったいないなぁ

こんなにたのしいのにぃ

ぴょん

ぴょーん
posted by 月姫瑠璃愛 at 17:10| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

☆プロジェクト☆

これはあなたを射止めるため

あなたを我が物とするため

あなたを逃さず搦め捕るための

私だけのプロジェクト

ふふふ

蜘蛛の巣を張り巡らせるかの如く

周りからじわじわと

あなたは私から逃げられない

すでにかかっているから

ふふふ

あなたは私だけのもの
posted by 月姫瑠璃愛 at 17:02| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月09日

【第25週】終了→【第26週】はじまります。

お疲れ様です。

 現時点における第25週目各人のお題消化状況に関するまとめです。

 華涼紗乃:3/3:75/75
 樋川春樹:3/3:75/75
 葉瀬尋:3/3:75/75
 月姫瑠璃愛:(第16週で脱落)

 (名前:今週の消化数/今週のお題数:トータル消化数/トータルお題数)

 以上です。

 続いて第26週のお題を発表します。

・プロジェクト
・ベッド
・変化

 以上になります。

 8月15日0時までに【詩ならひ】への投稿をよろしくお願いします!
posted by 華涼紗乃 at 17:26| Comment(0) | 連絡帳。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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