2011年07月31日

病院

突然目の前に開かれた
不思議なとびら

開けると中は真っ白な空間
そこでなぜか診察を受ける私

胸が変にドキドキして
目の前がクラクラするんです

食欲がないんです
食事が喉を通らなくて…

時おり胸がしめつけられて
いてもたってもいられなくなるんです

最近の気になる症状を
包み隠さずお医者様にすべて伝える

次によばれるまで
待合室でお待ちくださいと

ようやく呼ばれて
渡された処方せん

病院のそとの薬局へもちこんで
しばらく待っていたら

あなたが微笑みながら現れた

お医者様では治せない
私のこの胸の痛み
癒せるのはあなただけ

なんていう素敵なお薬でしょう

また胸が痛んだら、ここを訪れよう

素敵なお薬を処方してくれる
この不思議な病院へ


posted by 葉瀬尋 at 23:55| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

人違い

声をかけるのが怖い
あまりにも似すぎていて

歩き方もしぐさも
遠目から見てもあの人そのもの

違うのはただ
隣にいる知らないひとだけ

その位置は、ねえ
別のひとのものじゃなかったのですか
だから私、諦めたのに

随分と親しげに並んで歩く姿
まるで秘密を分け合った同士

声をかけるのが怖い
振り向いたその顔がもし
紛れもなくあの人だったら

人違いだと言い張って

生き別れの双子のきょうだいか
世界で三人いるというそっくりさんだと言って

苦し紛れの言い訳でも
せめて笑わせて

じゃないと私
なにするかわからないから



posted by 葉瀬尋 at 23:54| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

キスするたび、ちくん
抱き合うたび、ちくん

気持ち良いのに
胸の奥をつつく痛み

一時の悦びのために
誰かに嘘をついて
大切なひとを欺いて

そんな私の心を
良心という名の天使がつつく

ちいさな穴が無数に開いて
修復が不可能なくらい

ちくんちくんと針を刺す
この痛みが、やめられないの

きっとあなたも同じでしょう

甘い罪を共に背負って
どこまでも堕ちていきましょう

posted by 葉瀬尋 at 23:53| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『病院』

 何十万回この病院に来たのだろうか
 百万回には届いていないと思うのだけれど
 もはや数えていられる回数でもないのでわからない

 時間が無限にあるということは
 無限回数の試行が可能ということ
 心が折れさえしなければ

 『運命』を変えられるポイント
 たった一点を見つけ出すために
 普通の人間何人分の人生を費やしただろう

 失敗の数と同じ回数赤ん坊は死んだ
 その全ての死を発狂もせず見送った

 執着する理由はわからない
 単に認めたくなかっただけなのかもしれない
 変えられないものがある、ということを
 どうにもならない『宿命』に囚われた人間がいる、ということを

 正気を保っていられたのは
 自分が既にひとでない証だろうか
 飽かず倦まず挑み続けたのだ
 必ずあるはずの、救済という名の正解を求めて

 『その時刻』を通過したことが
 最初は信じられなくて
 何度も時計を見直して
 何度見直しても時計の針はその一点を通過していて
 思い違いではなくて見間違いでもなくて

 確かに生きて動いている赤ん坊を見下ろして
 自分がとうとう『それ』を探り当てたことを知って



 赤ん坊はその後平穏無事な数十年の時間を生き老人となった
 もう彼に対して『引き金』を使う必要はない
 最後に一度だけ彼に会いに行った
 じきに充実した生涯を終える彼の姿を
 何となくもう一度だけ見てみたくなって
posted by 樋川春樹 at 22:26| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『人違い』

 夕陽が西の空へと燃え落ちてゆく

 丘の上の公園のベンチにひとり腰を下ろして
 老人は静かに日没の風景を見守る

 今日も良い一日だった
 心穏やかに、平和に過ごせた

 毎日そうしているように、
 胸の中で感謝のことばを唱える
 まだ見ぬ神へ、
 いるのかいないのかもわからぬ
 大いなる存在へ

 完全に暗くなってしまう前に
 老人は杖を手に立ち上がる
 同じくらい年老いた妻が待つ我が家は
 公園からすぐのところにある
 明日は息子夫婦がかわいい孫達を連れて遊びに来る予定だ

 ふと上げた視線の先
 公園の入り口
 誰かが立っているのに気づいて
 少しの驚きと共に老人は足を止める

 灰色のコートを片方の肩にひっかけた少女が一人
 老人に静かに視線を向けて
 そして微笑んだ

 謎めいた微笑にひかれるように
 老人はそろそろと彼女に歩み寄る
 かなり聞こえにくくなっている彼の耳が
 まだ離れたところにいる彼女の囁きを確かに、拾う

「ようやくここまで、辿り着いた。
 変えられない運命なんて、やっぱり存在しないんだ」

 その言葉の意味は、老人にはわからない
 けれど、何故だろうか、
 彼にとって彼女はひどく懐かしい存在に思えてならなかった

 たった今初めて会ったばかりのはずなのに

 まるで生まれてからずっと、そう、ずっとそばにいたような

 彼が生まれ落ちてから今日までの長い長い日々を

 一日も離れることなく共に過ごしていたような───

「……失礼。お嬢さん、どこかでお会いしたことが?」

 意識するよりも早く、問うていた
 少女は老人の瞳を、おだやかなまなざしで見返して

 そしてゆるりと首を振る

「そうですか。しかし、私は随分と昔からあなたを知っているような気がしてならない。
 いや、あなたような若い方を昔から知っていると思うのは、おかしなことなのですが」

「───きっと、人違いでしょう」

 静かな声で簡潔にそう述べて、
 少女はぺこりと頭を下げる
 そうしてコートをふわり、翻して背中を向けて
 後は老人が声をかける間もなく歩み去る
posted by 樋川春樹 at 22:04| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『針』

 丁寧に慎重に
 育てあげてきた
 手間をかけて
 心を配って
 ゆっくりと大切に……

 言葉に嘘を混ぜ
 大勢にばら撒いた
 真実の一部を隠し
 迅速に拡散させた

 ひとびとは皆
 てんでに勝手なうたを歌い
 違う音色を聴いて
 別々のおどりを踊る

 分裂する群衆に信頼はそだたない
 細切れの言論に知性ははたらかない
 ふかくものを考えることも出来ず
 互いの意見をすり合わせることも出来ず
 なのに不安な情報だけをたらふく喰わされて

 この国はぱんぱんに膨らんだ風船だ
 するどい針のひと撫でで破裂する
 不安定でじつに脆い風船だ

 風船がはじけるさまを
 ひとめこの目で見てみたくて
 ただそれだけのために
 たくさんの時間をかけた
 自分の一生にほぼ等しいだけの時間を
posted by 樋川春樹 at 21:40| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"病院"

僕は決心した
本格的に人間に憑依することが出来るか試してみようと思う

他の仲間たちは
可哀想だと思うけど、彼女が選んだ道だからという
それは確かにそのとおり
僕たちはこの世のものではなく
何も手助けは出来ないと何度も言った

だけど自分のことは自分で出来ると彼女は言い
そして本当にそうしてきた

だけど…
熱でうなされているのをみると心が痛む
怪我をしているのをみると心がきしむ

病院に連れて行ってあげることは難しくても
コンビニに簡単な治療道具やスポーツドリンクを
買いに行くだけでも彼女の助けになる

それにはやっぱり生身の人間の体がいる
ちょっとだけ貸してもらうだけ迷惑はかけない

そう思い出してから通ったのは病院だった
僕たちに近い人のほうが入門としていいかもしれない

夜だと見つかるかもしれないから
昼のうちに病室に滑り込み
念じてみたり、寝ている体に重なってみたりする

まだ憑依できたことはないけれど
思えば願いはかなうというなら
「思い」が具現化した僕らなら簡単なはずだ

いつかかならず彼女の助けになる
posted by 華涼紗乃 at 12:08| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"人違い"

「宛先を再度お確かめください」

何度も同じ文面を送っているというのに
間違っていることを信じない送信先
このメールアドレスは勤務先のもの
苗字@勤務先ドメイン、というありふれたもの

「またまた、そんなこと言って照れなくていいんだよ」

送信先の交際相手が
以前、勤務先に勤めていたのだろうか?
しつこく、いやらしく、うざったいメールがくる
このメールは何かのときの証拠になるので確実に残しておく
まあ、少し滑稽な送信相手が憐れというのと
ちょっと面白かったことは否めないが…

でも、さんざん事務的メールを送られて
彼も少しずつ、相手が交際相手だと信じられなくなってきたらしい

しかし、その場合の対応が斜め上過ぎるものだった

「今まで間違いメールごめん。
 でも毎回返事をくれた君はいい人のようだ。
 良ければ僕と会ってみませんか?」

今の若者はまったく思考が読めない
新人研修担当の友人も頭を抱えるはずだ
「妻子がいる40代後半の脂ぎったオヤジですが、何か?」
と送信したら、それ以降一切メールは来なくなった

厄落としのため、後日、笑い話として友人に話したら
送信先の人間は何とここに勤めているらしいことがわかった

世界は案外狭いものだな

posted by 華涼紗乃 at 12:07| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"針"

高速に、正確に、無駄なく
相手の胸に針を打ち込む

キューピッドの矢なんて
即効性&持続性が期待できるものは
素人が手を出していいものじゃない

笑顔、上目遣い、ちょっと手を触れる
きゅん、という萌え要素を積み重ねる
周りの根回しも完璧に

知らない間に相手の心は
私の毒針に侵されて
すっかり色が変わってしまう
そう、私の色にね

もうそろそろ仕上げの段階
唇を舌でぐるりと舐めた

きっちり陥落できるかしら
その瞬間が楽しみ
posted by 華涼紗乃 at 12:06| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

+病院+

風邪をひくと
早く治したいがために
病院に行く

自分の身体はよくわかる
絶対に自力では治らない
だからこそ
この辛さから少しでも早く
楽になろうと
逃れようと
病院に行くのだが

なんだか余計に悪化しそうな
そんな錯覚に陥る

待合室には
当然
診察待ちの患者がいるわけで
なんとなく
空気がどんより濁っている気がするのだ

辛い身体に
追い打ちをかけるかのような
この環境

それがわかってるだけに
何もない時には
行きたくない場所である
出来る限り近寄らず
無縁でありたいが……

しかし
定期的に健康診断をするべきなのだと
思うわけであり
気持ち的には行こうと思うのだが
なかなか足がそちらに向かない

いい加減覚悟を決めなくては
そう思い
ネットで診察時間などを調べる
思わず内心
そこからかよ、と
自分に突っ込んでみた
posted by 月姫瑠璃愛 at 04:11| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

≠人違い≠

トイレから出てきて
私は手を洗いながら
隣で化粧直しをしている友人に話しかけた

だけど
なぜか応答がない

化粧に忙しいのか…
夢中なのか……

洗い終わった瞬間
鏡を覗き込んで
目を見開いた

そこに映り込んでいたのは

私と……

……………

見知らぬ女性

次の瞬間
顔から火が出そうなくらい
すごく恥ずかしくて
いそいそと
その場をあとにした

出たところに
見知った顔が飛び込んで来て
ほっとしたら
なんかすごく笑えてきた

そんな私を不思議そうに見返す友人

いやね
さっきさぁ……
posted by 月姫瑠璃愛 at 03:58| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

―針―

まるでそれは
魔法の杖
魔法のほうき

銀色で細くて頑丈で
そして繊細なの

糸をくっつければ
あら不思議

布の上を飛行しながら
模様を描いていく

花だったり
幾何学模様だったり
自由自在に
思いを具現化していくような…

それだけじゃないわ

布同士をくっつけたり
飾りにボタンだってつけられるの

ねー
魔法みたいでしょ

だけど
時々指をチクリと刺しちゃうから
ご注意あそばせ☆
posted by 月姫瑠璃愛 at 03:50| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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