2011年07月24日

『破片』

 涙がとまらなかった
 ココロがどこかコワレたみたいに
 瞳の奥から次々にあふれ出してくる涙が
 どうしても、どうしてもとめられなくて
 まるでぱっくりと裂けた深い傷口から
 手のほどこしようもなく鮮血が湧き出るみたいに
 顔を覆った両手の隙間から
 涙が流れて、流れてとまらなかった

 うまくやれるはずだった
 何の問題もナイと
 慢心ではなく増長でもなく
 それは確かに自信だったはず
 わたしはちゃんと出来るハズだった

 どこで何を間違えてしまったんだろう
 どこでボタンをかけ違えたんだろう
 いつ誤った道に踏み込んでしまったんだろう
 いつ選んではならないものを選んでしまったんだろう

 ぺたりと座り込んだ両脚にもう力は入らない
 さっきまで立って歩いていたなんて、悪い冗談のよう
 もう二度と立ち上がれる気はしない
 このまま世界に押し潰されてしまいそう

 床に散らばった硝子の破片を
 震える指が知らぬ間に掴んだ

 降り注ぐ硝子は切っ先を必ず下に向けて落ちる
 地上でぼんやりとしている愚かもの達を引き裂くために

 血に濡れた破片
 やわらかな肉に突き立てて
 ひと息に掻っ切ってしまえば楽になれるのか

 あるいはそれすらも新たな地獄の門を開くだけなのか

 救いはない
 どこにもない
 泣いて泣いて泣いて泣いて泣いても
 差し伸べられた手すら罠ならば

 こうして訪れた終わりさえもが罰ならば
posted by 樋川春樹 at 18:09| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『初雪』

 彼女が生まれたのは
 その年に雪が降った最後の日の、翌日のことだった
 戸外には真っ白な雪がまだ溶ける気配もなく残っていて
 それでもこれから春に向けてこの冷たさも緩んでゆくのだと
 人々が冬の間中厳しく引きしめていた気持ちを
 ほんのわずか笑顔と共にほどいた日のこと
 彼女が生まれたのはそんな日だった

 雪も氷も溶けて
 すぐに春が来る
 いのちは芽吹き
 大地は緑に包まれて
 陽射しは強さを増して
 やがて夏になる
 世界を溶かしてしまいそうな熱
 ゆらゆらとたちのぼる陽炎
 渇きを呼ぶ暑さも永遠ではなく
 いつしか風は冷えて
 すべてが色づく秋が来る
 動物たちは間もなく来る冬に備え
 忙しげに木の実を集めて回る

 そしてその年の初雪が降った日の、前日のこと
 彼女は静かに息を引き取った
 あどけない頬に浮かんだのはただの眠りにしか見えなかったけれど
 よろこびもかなしみも知らないままに
 小さな彼女はもう二度と目を覚まさなかった
 ただの一度も降る雪を目にしないまま
 小さな彼女はどこにもいなくなったのだ
posted by 樋川春樹 at 17:58| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『はさみ』

 5ミリ幅
 横に細くはさみを入れて
 今度はそこを
 同じように縦に
 目測で切ったにしては
 いやに整った印象を与える
 ちいさな正方形が
 ぱらぱらとくずかごに落ちる

 シュレッダーなんて上等なものはないから
 ひとつひとつこうやって手作業で
 地道にこまめに処分していくしかない
 別に手でこまかく引き千切っても構わないのだけど
 いずれにせよ大した違いはない
 ひとつひとつ手に取って確かめて
 万が一誰かの目に触れても
 すぐには判別出来ないように

 燃やしてしまえばいいのだろうけど
 あるいは墨で塗り潰してしまえば
 水の中に捨ててしまえば
 土に埋めるのはまずいかな
 でもその上に何か大きな建物を建ててしまえば
 一度に処理してしまえるのに
 そうは思ってもきっとそうすることは良くないのだろう
 ひとつひとつ
 かたをつけないと

 ぱらぱらと落ちる正方形
 記されていたのは氏名と年齢
 おびただしい数のそれが何だったのか
 誰も知る必要はない
 誰にも知らせる必要はない
posted by 樋川春樹 at 17:48| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

破片

バラバラになりそう

あなたへの思いが粉々に砕けて
私の心も一緒に

あなたは私だけ見てくれてると
そう信じていたかった

不安は胸にしまって
あなたの笑顔だけ見つめてた

でも違うのね
見ないといけないのね
真っ直ぐに真実を

あなたを好きな気持ちと
あなたを憎む気持ちで

心がバラバラに乱れて砕ける

心の破片をひとつずつ
拾い集めていくと

やっぱり

好き 好き 好き 好き

破片には全部
好きって書いてある

悔しいくらいに
その気持ちしかなくて

私だけ見てほしいけど
その願いは叶わない

心がバラバラになっても

あなたを好きな気持ちは
変わらない

あなたを好きな私の心の破片
あなたにも刺さればいい

私の痛みをすこしでも
私の思いをすこしでも

感じてほしい

あなたが好き
あなたが好き

それだけしかないから

私があなたの生活から消えても

あなたの胸にいつまでも
消えずに残ってほしい

私の思いの破片

刺さったままでありますように

posted by 葉瀬尋 at 11:52| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"破片"

どうでもいいってこういうこと
心底、本当に、どうでもいい

「君と離れてみてやっとわかったんだ
 僕たちは二人でひとつ
 ひとつずつならただのかけらで
 完全体にはなれないんだ
 だから強がってないで帰ってきてほしい」

ある日の朝
起きて携帯を確認したら
入ってたメール

アドレスはすでに消してしまってたので
新手の迷惑メールかと思ったけど
元彼がどうやら復縁したいらしい
どうせ当時の浮気相手に捨てられでもしたんだろう

頭をガシガシとかく
もうただひたすらに面倒くさい

私にとってあんたは
粉々に砕けたガラスの破片であって
そんなものはどんなに大事だったとしても
全部まとめてゴミ箱へぽいするしかないって
どうしてわかんないのかな

とりあえずうっとおしいので
メールの受信拒否完了

さて、もう一眠りしましょう
今日は休日
自分の思い通りの時間がたくさんあるのだから
posted by 華涼紗乃 at 11:34| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"初雪"

今日は特に冷え込んでいる
お気に入りのダッフルコートに身を包み
ふかふかのマフラーに顔半分を埋める

天気予報では
そろそろ雪が降るそうだけど
今日はどうかな、降るかな

どんよりとした雲はいつもどおりだ
濃い灰色で街に覆いかぶさるよう
あんな色の雲なのに落ちてくる雪はどうして白いのだろう?

手の甲に、感覚
見てみると小さな小さなしずくがひとつ
はっとして見上げると
幻かと思うような儚さで
白い一片が舞い降りる

雪は仲間を連れてくる
ふわりふわりといつの間にか
視界がうっすら覆われるほど

…人影?
雪は…雪は。
あの人を連れてきた
会いたくて会いたくて
もう会えないと思っていたあの人を
posted by 華涼紗乃 at 11:33| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"はさみ"

しゃきん、しゃきん、しゃきん

だから何度も言ったでしょうに
そのたびに人でなし!とか言われたけど

しゃきん、しゃきん、しゃきん

だって
純粋に
物理的に
ごく一般的な考えでしょう?

体力がなくなっていくスピードは
私のほうが絶対的に遅いんだから

しゃきん、しゃきん、しゃきん

身分?愛情?
そんなもの完全に無くなってると思わなかったの?
あんな仕打ちをしておいて

あ、もしかして誰かが助けてくれると思ってた?
おあいにく様
あなたと私ではもう私のほうが圧倒的に信頼されるのよね

しゃきん、しゃきん、しゃきん

本当、馬鹿だよね
復讐されないとでも思ってたのかな?
まあ、馬鹿じゃなきゃあんなことしないよね

しゃきん
…これから
しゃきん
…たっぷり
しゃきん
…苦しめてあげるからね

裁ちばさみを鼻の前で何度も鳴らしながら
ときどきは着てる服をざくざく切り刻んで
あ、ごめんね、刃がかすっちゃったね
服が汚れたからこれも切っちゃおうね

しゃきん、しゃきん、しゃきん
posted by 華涼紗乃 at 11:32| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

初雪

初めての雪をおぼえてる

二人の初めてのおでかけ先に
あなたが選んだのは
少しさびれたテーマパーク

行き先なんてどこでもよくて
あなたといられることの約束が嬉しくて
なに着ていこうかとウキウキしてた

約束の日が近づいて
天気予報を見ると
今年一番に寒い日だって…

スカートが好きなあの人のために
ひらひらのかわいいの
履いていこうと思ってたのに…

近づいてくる約束の日
決まらないコーディネート

寒いのを我慢するか?
どうするか?

とうとう約束の前の日
まだコーディネートは決まらない

部屋で一人ファッションショーしてたら
珍しくあなたがメールをくれた

「 明日は寒いから
  暖かい格好でおいで
  スカート履かなくてもいいから
  元気で楽しもう! 」

なんて優しいひと

私が悩んでること
どうしてわかったの?

ありがとう、って返事して

おでかけ当日は
スカートの下にデニムを履いた

スカートが好きなあの人のために
やっぱり履きたかったの

すごく喜んでくれて
ああ、よかったなと思ったの

さびれたテーマパークには
ものすごく寒いせいか
二人のほかには人もまばらで

ずっと手を繋いで歩いても
恥ずかしくなかった

建物の影にかくれて
少しだけ抱き締めてもらって
冷えた体を温めた

二人にとって初めての雪

その思い出が

今も心を温める




posted by 葉瀬尋 at 11:28| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

はさみ

悪いものは断ち切りましょう

たとえば

あなたが遊びで手を出して
本気になってしまったあの人との
腐れた縁などを

私ならあなたに遊ばれても
本気になんてならない

あなたのこと本当に大好きだけど
本気になってはいけないこと
理解してわきまえるのに

だってあなたには
守るべき人がいるのだもの
あの人でも私でもない
ちゃんとした人が

それなのにあの人は
夢を見てしまったのね
その責任はあなたにもある

遊ぶなら相手を本気にさせちゃダメ
それもできずにおいたはしちゃダメ

あなたをおうちで待っている人を
不安にさせちゃダメ

だから切ってしまいましょう

あなたを追いかけるあの人との縁を

あなたが自分で切れないなら
私が切れたらいいのに

大きな大きなはさみを
これ見よがしにしゃきしゃきと
鋭い刃を光らせて

あなたとあの人の間にかざし
そしてはさみをひとふるい

ジャキン、という音とともに

断ち切ってしまいましょう
あなたを困らせる腐れた縁を

身勝手な行いだけれど


posted by 葉瀬尋 at 11:27| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

♮破片♮

それは偉大なる力の一部分

ほんの一欠片

しかしその小さき欠片でさえも

侮れぬ力を宿す

その欠片をすべて集め

ひとつの球体となった時

それはそなたの力となろう

使い方は持ち主次第

善にも悪にも思うがまま

さて

そなたはどのように使うものか

行くがよい

求めるがよい

自ずとその欠片に引き寄せられ

ほかの欠片もみつけられるであろう

完全なる力を手にするがよい

そなたが堕ちてゆく姿を

楽しみにしておるぞ

くくくくく………
posted by 月姫瑠璃愛 at 03:27| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

○初雪○

息が白いのを見て
空気が冷えていることに
改めて気付かされる

だけど
私はそんな季節が大好き

だってね
あなたとの距離がぐーんと
縮むでしょう?

寒いとくっつきたいし
手もぎゅっと握れるし
その手をあなたはそっと
コートのポケットに一緒に入れてくれる
そんな瞬間がすごくキュンってする

身体は寒いけど
心はすごく暖かくて

私は歩きながらくすりと微笑む

ふしぎそうに見てくるあなたを
振り仰いだ瞬間
何か白いものが視界をよぎる

ひらひら
ひらひら

次から次と
空から舞い落ちる白いもの

まるで私たちを祝福するかのような
フラワーシャワーみたいに
今年初めての雪が降り始めた
posted by 月姫瑠璃愛 at 03:12| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

×はさみ×

キッチンの引き出しには
常にはさみがある

これはある意味
守り神的な存在なのだ

すぐに出せるところにはさみがあれば
包丁で横着なことをしようなんて考えはなくなる

たとえば
野菜がはいっている袋をしばっている部分だとか
ネギを縛っているテープだとか

下手に包丁なんかで切ると
そのままずばっと指まで行きかねない

いや
実際
手痛い思いをしているのだ
指を切り落とさなかったのが奇跡だと思ったくらい
後から考えてもぞっとする

なので
この引出しにあるキッチンばさみは
私の大事な守り神
posted by 月姫瑠璃愛 at 03:01| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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