2011年07月09日

『パーティー』

 きらびやかに飾り立てられた大広間で、今夜も華やかな宴が繰り広げられる。
 贅の限りを尽くした料理や酒が惜しげもなく供され、耳や口に心地良い会話があちこちで交わされる。
 決して本音を見せぬ同士のうわべだけは和やかなやりとりを横目に見ながら。
 仕立ての良い衣装に身を包み給仕に扮した自分は会場を歩き回る。
 見回せば視界に飛び込んで来るのはいずれ名を知らぬ者とてない有名人ばかり。
 この国の中枢に存在する者、この国の代表として名をあげられる者、この国の人間に広く愛される者。
 この国に貢献し数々の偉業を成し、地位も名誉も財産も、全てを手に入れた人間達。

 一人ひとりの顔と声とを慎重に記憶しながら。
 人と人との間を巧みに縫うように、歩き回る。
 時折呼び止められては用を言いつけられ、そのときには扮装に相応しい働きをしながら。

 囁かれる言葉に意識を集中する。
 やりとりされる目線の行方を観察する。
 自分の耳で、自分の目で。
 誰が信じるに足る人物なのか、誰がみてくれだけのはりぼてなのかを。
 不躾にはならぬように、けれどじっくりと時間をかけて、自分で判断してゆく。

 この国の指導者の息子として生まれた男児は、幼少時より病弱として人目から隠され続けた。
 だから誰も彼の顔を知らない、明日の朝からこの国を治める者の姿を知らない。
 自らの立場に慢心し謙虚さを忘れた立ち居振る舞いを、冷静に見定めている人物の存在を知らない。
posted by 樋川春樹 at 23:21| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

凹廃墟凸

今日もこっそりお城を抜け出し
廃墟と化したこの場所で
私はステンドグラスを眺める

ここは
私が唯一
自分らしくいられる場所

誰も使わなくなってしまった
誰も訪れることがなくなってしまった
この教会

いつだって人の目を気にしなくてはならなくて
心やすまる事がない私に取って
最高に素敵な場所だった

緑に囲まれたこの教会は
人里からも離れ
まるで時間も止まってしまったかのような
そこだけ世界から切り離されたような
そんな錯覚すら感じる

だけどね
こんな教会にまさかの人が訪れてきたの

そう
それがあの方との出会いだった


posted by 月姫瑠璃愛 at 20:35| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

…灰色…

いつからだろう

この世界が

こんなにも色鮮やかだと知ったのは

そう

きっとあの方が現れてからだわ

私はいつも人形で

綺麗に着飾られて

だけど瞳に映る世界は

なんの色もなくて

灰色一色の世界

なんの楽しみも悲しみもなくて

だけどあの方のおかげで

私を取り巻く世界が180度も変わったの

キラキラ輝く世界が

こんなそばに溢れていたなんて
posted by 月姫瑠璃愛 at 20:22| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

♪パーティー♪

今日は私の誕生日
みんないそいそと私の準備をする

私はいつもなされるがまま

この誕生日だって
私のために開かれているのではなく
政治のための道具にすぎない

各国のお偉い方がやってきて
私への献上と祝辞を述べるのだ

そう
とてつもなく
たまらなく
つまらない一日

それでも今年はちょっと違うの

ワクワクすることがあるの

そう
きっとあの方がやってくるから

いつも優しい眼差しで
私にそっと手を差し伸べて
あの方だけは私だけを見てくれる
誰もが私の後ろにいる父を意識する中
あの方だけは
私という一人の人間をみてくれる

真っ直ぐで正直な方…

だから私はとてもつまらない
このパーティを抜け出さずに
父と共に広間へと出るの

黄色い歓声と拍手
賛辞の声

そして私は
一国の王女に相応しい
最高の笑みを浮かべた
posted by 月姫瑠璃愛 at 20:17| Comment(0) | るり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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