2011年06月12日

『だからこそ』

 悲しくてたまらなかった

 無力な存在であることも
 有限な存在であることも

 与えられた何もかもが
 強制的に持たされた何もかもが
 不本意でならなかった

 こんなものは要らない、と
 望んで手にしたわけじゃない、と

 偽りのない気持ちがただの泣き言と誤解されないように、
 だからこそ背負わされた環境に完璧に順応してみせる。
 自分が不利だから文句をぶつけているのではなく、
 この感情は言い訳ではないと誰にでも理解出来るように。

 何もかもを手に入れて受け容れて安定した足場を築いて、
 ここが失い難い場所になってからでさえもここを棄ててみせる、
 それだけのために、よくできた仮面をかぶる。
posted by 樋川春樹 at 22:30| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『高望み』

 いまにも降り落ちて来そうなぐらいに重く垂れ込めた曇り空なのに、とても間近に見えるのに、それでも伸ばした手は空には到底届かない。

 ひと一人の手は滑稽なほど短くて頼りなくて、だからきっと「この生命と引き換えてもいい」と本気で願ったとしても遥かな高みに触れることは−触れようとすること自体が−殺されても文句が言えないくらいに不相応な高望みというやつなんだろう。

 コンクリートの建物に区切られた路地は入り組んだ迷路というよりは救済から見放された檻に近くて。
 それはつまり迷路ならばいつか何かの偶然だか幸運だかで出口に辿り着く可能性もあるけれど完全に閉ざされた檻にはそんなまちがいは有り得ない、ということで。

 ところどころ舗装が剥がれてもう何年も修復されていないアスファルトの上にへたり込んで、真っ赤に濡れた両手を呆然と見下ろしている。見える範囲の衣服にも容赦なく飛び散った紅は、自分のものではなくて。
 もしもそれが自分のものであってくれたならまだいくらか状況はマシだったのだろうか?
posted by 樋川春樹 at 22:03| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『大罪』

 ある賢者は言った、

「ひと一人の生命を奪うことは
 世界をひとつ壊すことに等しい」

 と。

 生命の価値には差があり過ぎて−それは否定したくとも厳然としてそこにあるどうしようもない事実で−世界全体と個人の存在とを同じはかりにかけるのはそもそも無理があるけれど、独自に世界を認識し思考を形成した誰かを殺害することがその誰かが生きている世界を壊してしまうのと同じ行為だという意見には素直にうなずける。

 たとえばぼくが誰かに殺されたならば、ぼくが見ている世界、ぼくが聴いている世界、ぼくが触れている世界、それらのことごとくが跡形も残さずどことも知れぬどこかに雲散霧消してしまうわけだから、それはすなわち世界を壊すこととまったく等価なのだ。

 それ故に殺人は、殺めた人数がただの一人だったとしても、人間がその生涯をもってしても到底償い切れぬ大罪なのだ。
 世界と等価たり得ない人間には、世界を壊した罪をどうやっても贖うことが出来ないのだ。
posted by 樋川春樹 at 21:32| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

だからこそ

手を伸ばしてはいけない人だと知っていた
愛されることを望んではいけない人だとわかっていた

だからこそ

願いが叶ってしまったことは
奇跡としか思えなかった

当たり前のように
あなたに呼ばれ

当たり前のように
あなたの隣にいて

当たり前のように
あなたと熱を分かつ

それらはすべて
奇跡の連続だった

夢に見たあなたとは違う
本当のあなたの姿かたち

夢ではわからなかった
あなたのぬくもりとにおい

すべてがいとおしくて
すべてが素晴らしくて

いつか奇跡の果てが来ても

はじめから叶わぬ想いとわかっていたから
それはもとの二人に戻るだけ
悲しいことじゃない

奇跡は奇跡のままで
汚してはならないもの

だからこそいま

あなたから離れるとき
もとの二人に帰るとき

お互いの居場所へ
お互いの世界へ

美しいままで終われるよう


posted by 葉瀬尋 at 18:49| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

高望み

顔を見るだけで良いと
声を聞くだけで良いと

何度も何度も
自分に言い聞かせていた

だけど

気持ちは膨らむばかり
想いは募るばかり

私を見て欲しいと
名を呼んで欲しいと

それが叶えば今度は

私に触れて欲しいと
ぬくもりが欲しいと

尽きることのない望みは
どんどんと高く深くなる

いずれ罪へとたどり着く
容易くわかるはずの流れ

気づかぬフリをして
無邪気に求め続ける

あなたに名を呼ばれ
あなたに求められ
あなたの愛になりたい

かりそめの愛でも
ひとときの愛でも

かまわないから
かまわないから

私を愛して
ただ一度だけ

私を愛して
せめてもう一度

私を愛して
最後の想い出に



posted by 葉瀬尋 at 18:49| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

大罪

私の願いが叶うということは
愛しい人に誰かを裏切らせるということ

たくさんの想いを歴史を踏みにじり
台無しにさせるということ

それほどのことを
罪と言わずになんと呼ぼう

私に手を伸ばすあなた
そう仕向けたのは私

毒牙にかかるフリをして
誘っていたのは私

願ってやまなかったぬくもりが
いま私をあたたかく包んでいても

心がひどく冷めているなんて
切ないね

欲しくてたまらなかったもの

あなたの広い胸の中で
あなたの声を聞いても

その言葉を気持ちを
信じられないなんて

悲しいね
虚しいね

それでも

もう一度だけと
あと一度だけと

あなたに誰かを裏切らせ続け
同時に私も誰かを裏切り続ける

そんな共犯者でいられることに
歪んだ悦びを覚えている

あなたに求められる度
ひっそりと闇く嗤う

この気持ちそのものが
愛以外の何物でもなく

この気持ちそのものが
罪以外の何物でもなく

両立してはならないはずの
ふたつのものが
危ういバランスで存在する

いつか必ず訪れる
偽りのぬくもりの終わりを
確かに予感しながら


posted by 葉瀬尋 at 18:48| Comment(0) | ひろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"だからこそ"

貰った分は与えるべきだ
モノも気持ちも

価値基準が違うから
そこは難しいところで
何とも言えないけれど

たくさんいただいている気持ちがある
たくさんいただいているモノもある
どうにかして返していきたい
どうにかして感謝を伝えたい

自分なりにはしてきたけれど
まだまだまだまだ足りない

だからこそ
これが当たり前だと思わないように
ましてや思い上がったりしないように
肝にしっかり銘じていこうと思う

posted by 華涼紗乃 at 13:22| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"高望み"

分不相応な望みは持ってはいけないと
よく言われることだけど
その意味が良くわからなかった

別に目標は高く持っても良いじゃない?
幸せを掴み取るために
努力すれば勝ち得るものなら
望んでも構わないじゃない?

っていうか
望むくらい許してくれたって良いじゃない
私は私の勝手でしょ、なんて

でもちょっと見通しが甘かったみたい

高望みって
結局、自分の首を絞めることになるのね

それだけは盲点だった

相手に合うように自分を偽る
物に合うように自分を歪める
仕事にあうように自分を型にはめる

いつの間にか
私は私を見失って
自分自身がわからなくなった

望んだものを
手に入れたものを
手放したくないがためにしがみついた

自分をひしゃげて壊してしまう前に
高望みに引きずられながらでも
考えなくてはならない

手遅れにならないように

posted by 華涼紗乃 at 13:21| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"大罪"

報い、というものは必ずあるのだ
多かれ少なかれ
早い遅い
そんな違いはあるのだろうけど

人は人と暮らすために決まりを決める
罪はその決まりを守らなかったこと
罰はその決まりを守らなかった代償

大きな罪には大きな罰を
至極当然な話

また廻りまわって
自分がやったことは
自分に必ず帰ってくる

不思議と
誰かが何かをしなくても
自滅の道を歩むしかなくなる

等価交換は確実に働いている

posted by 華涼紗乃 at 13:21| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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