2011年04月10日

"公園"

手のひらにしっくり来る
可愛いサイズの空気銃

弾もガスも一杯詰めてきた
準備万端だ

平日の昼下がり
公園のベンチに座って周りを見渡す

何だかワケアリのカップルや
よちよち歩きの子どもと母親
ランチの帰りに足をとめたOL

みんなとても平和そうだ
みんなとても幸せそうだ
まあ、そりゃあ人間だから
いろいろあるんだろうけど

手のひらの熱を奪っていく空気銃
右手から左手へ
左手から右手へ
もてあそびながら機会を待った

隠す必要なんかない
堂々としていれば
誰も注目なんてしないのだ

撃鉄を起こす
腕をまっすぐ伸ばして
誰もいない中空へ
撃って撃って撃ちまくった

銃声は喧騒に掻き消えた
誰も気づいていない

実験は終了した
これなら本物でも
音さえ消せば
多く仕留められる

本物が届くのが楽しみだ


posted by 華涼紗乃 at 16:19| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"幻覚"

ある枝垂桜の木の幹に寄り添ってみた
周りを見渡すと天然のカーテン

うっとりしていたら
いつの間にか引っ張り込まれたらしい

気づいたら大きな桜の木が一本だけ
立っている場所にいた

枝一杯を白く飾り
風に花びらを翻しながら咲く桜
光に反射しないはずなのに
青空の中でそれはキラキラと輝いていた

やがて花びらは
恋を覚えた少女のように
少しずつ薄紅に色づき始め
ひらりひらりと
男を惑わすように散っていく

次に青々しい緑が顔を出す
大きく葉を伸ばし
夏の陽に照らされながら空を覆う

そして陽光が弱まると
太陽を吸い込んだかのような
暖かく赤い色に葉を染めて
燃えるように落ちていく

葉を落とした桜は物悲しい
しかし良く見ると
硬く、枝と同じ色をした小さな蕾
この中には春への希望が詰まっている

…はずなのに

枝から
幹の皮から
少しずつ崩れ落ちていく桜

逝かないでと手を伸ばしたら
枝垂桜の花に触れた

どっと噴き出す汗
身体の芯が
強引に揺さぶられたような気がした

連綿とめぐる季節
来年の桜もまた見られるという根拠のない確信
だけど桜でさえも朽ち果てる
だったら人なんて儚いもの

たった一瞬先さえも、闇
posted by 華涼紗乃 at 16:15| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"限界"

最初に断っておく
嫌いじゃないんだ

彼女のことも
彼女の振る舞いも
彼女のぬくもりも

全部、全部大好きだ
そこに嘘はない

だけど

たまには一人になりたいときもあるし
彼女以外のことに心が奪われることもある
仕事だって、生活だって大事だ
四六時中、構っているわけには行かない

けど僕の彼女はそこんとこがわからない

何とか話し合って、時に躾して
待て!を覚えさせたけど

もう限界だ

ああ、もう少し一人でいたかったなぁ…

心の中で悲しそうにつぶやく
もう一人の僕を置き去りにして

彼女に言った
『結婚してください。』
posted by 華涼紗乃 at 16:14| Comment(0) | はな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『公園』

 すべりだいも、ぶらんこも、
 古びたベンチも、水のみ場の噴水も、
 外れにあるあの桜の木でさえ、
 もっともっと大きなものだと覚えていたのだけれどな。

 今となってはこの公園自体が、
 狭くて小さい、ちっぽけな場所だ。

 日が暮れるまで遊んだ、
 なんてありがちな思い出はない。
 子どもの頃からずっと家の中にいるのが好きで、
 ひとりで本を読んでいるのが好きな子どもだったから、
 公園に来たことなんて数えるほどしかない。

 それでも、
 記憶の中にある光景と、
 いま見るその場所が違っていることはわかる。

 あの頃見ていた空間の広さ。
 あの頃感じた時間の長さ。
 無限の可能性があると信じ込んでいた、
 信じ込ませてくれていた、あの頃の世界。

 いつしか全てを忘れてしまった。
 何もかも手放してしまった。
 もう二度と引き返せないところ。
 もう二度と取り戻せないこころ。
posted by 樋川春樹 at 00:27| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『幻覚』

 幸福である必要はない、
 現実に幸福である必要はない、
 それはどこまでも主観的なものだから、
 そうある状態に他者にとっての意味はないし、
 であるなら自分にとっても結局意味などないのだ。
 より良い明日を目指してみたり、
 ここよりも良い場所があると思ってみたり、
 誰もが様々な方法で現実から目を逸らす。
 いっときでもうまく騙してくれる幻覚があれば、
 そちらに縋って生きたいと願ったりする。
 いつかやぶれるゆめでも、
 ゆめをみている間はしあわせでいられる。
posted by 樋川春樹 at 00:16| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『限界』

 底に着いた、と思っても、
 下の下はいくらでもあるもので。

 ようやくどん底、
 これでラクになれると、
 重荷を投げ出そうとしても、
 地獄の底は何度でも開いてしまうから。

 耐え切った、と思っても、
 実はそれは限界ですらなく。

 何度切り刻まれても、
 あたらしく傷を刻むスペースはまだたくさんあるから、

 結局いつまでもラクにはなれない。
 結局いつまでも解放されすらしない。
posted by 樋川春樹 at 00:11| Comment(0) | はる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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